
Metaが最高裁判決を活用した新戦略を展開#
Metaが、AI学習データのトレント共有に関する著作権侵害訴訟において、最近の最高裁判決を活用した新たな防御戦略を打ち出している。同社は、ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)の海賊行為に対する責任を否定した最高裁判決が、自社の法的責任を回避する助けになると期待している。
訴訟の背景と争点#
現在Metaは、AI学習用データの取得方法を巡って複数の訴訟に直面している。主な争点は以下の通り:
Entrepreneur Media訴訟:同社は、Metaが約80テラバイトの海賊版作品をシードし、トレントの仕組みを理解してアップロードを許可することでダウンロードを高速化し、侵害を誘発したとして寄与侵害責任を主張している。
Kadrey v. Meta(集団訴訟):書籍著者らがMetaのトレント行為について「配布」による直接的著作権侵害を主張していたが、最近この訴訟にも寄与侵害請求が追加された。
TorrentFreakが指摘したように、著者らの「配布」請求にはMetaが作品全体をトレントしたという証拠が必要だが、寄与侵害請求はMetaがトレント転送を促進したことを証明するだけで済むため、立証がより容易とされている。
最高裁判決とMetaの法的戦略#
Metaは声明で、Cox事件における最高裁判決が同社に有利に働くと主張している。最高裁は寄与侵害に関して2つの理論のみが先例で支持されているとした:
- 一般サービス提供理論:一般公衆向けサービスの提供で、一部が著作権侵害に使用されることを知っていても責任は生じない
- 積極的誘発理論:原告が「積極的に侵害を誘発した」ことを証明できない限り責任は生じない
Metaは後者の理論を援用する可能性が高く、同社は既にEntrepreneur Media訴訟で、原告が「Metaが誰と学習データを共有したか特定する事実」を申し立てていないと主張している。また、「第三者による特定の侵害行為についてMetaが実際に知っていた」ことや「Metaがそのような行為を防ぐ簡単な措置を取れた」ことも申し立てられていないとしている。
一方、両訴訟の原告側は、Metaがトレントの仕組みを知っており、この事実だけで十分だと主張。Entrepreneur Media側は「第三者侵害はトレントに内在的」であり、「BitTorrentの利用者なら誰でもダウンロードにはアップロードが必要だと理解している—それがシステムの中核設計だ」と論じている。
裁判官による厳しい批判#
興味深いことに、集団訴訟で寄与侵害請求の追加を認めたVince Chhabria連邦地裁判事は、著者側弁護士を厳しく批判した。判事は「特にBoies Schiller法律事務所が主導権を握って以来」、弁護士らがMetaを「叩く」ことに夢中になり、法的論証を固めることを怠っていると指摘。
著者側弁護士は2024年11月の早い段階でこの請求を追加できたにも関わらず、2023年から始まった訴訟でこれほど遅い修正(5回目)を求めることは通常受け入れられないとChhabria判事は述べた。
判事は、弁護士らがMetaの証拠開示の遅れを「言い訳」にしているが、これは自分たちの失敗を覆い隠すためだと非難。「Metaを叩くことに夢中で、依頼者と提案されたクラスメンバーの利益を代表することについて適切な判断を下すことができないようだ」と厳しく評価した。
著者側の「幸運な勝利」#
それでも著者側が寄与侵害請求の追加を認められたのは、MetaがEntrepreneur Media訴訟のスケジュールを集団訴訟と合わせるよう要求したことで、2つの訴訟の証拠開示が連結されたためだった。Chhabria判事は、著者側弁護士が「運良く」勝利を得たと表現している。
今後の展望#
Sonia Sotomayor最高裁判事の補足意見では、多数意見がDMCAで議会が創設した法的インセンティブ構造を解体していると警告し、この判決が著作権文脈で適用される可能性のある「幇助」などの他のコモンロー理論を無視している可能性があると示唆した。
Santa Clara大学のEric Goldman教授は、多数意見が支持した基準は「将来の被告に有利」に働く一方、著作権所有者は「それを薄めて弱体化させるために多額の投資をする」だろうとブログで指摘している。
まとめ#
MetaのAI学習データ取得を巡る訴訟は、AI企業と著作権者の間の重要な法的争点を浮き彫りにしている。最高裁のCox判決がMetaの法的戦略にどの程度有効かは今後の法廷での展開次第だが、この訴訟の結果はAI業界全体の学習データ取得方法に大きな影響を与える可能性がある。
筆者の見解:技術革新と著作権保護のバランスを取ることは極めて困難な課題であり、この訴訟の行方はAI開発の将来的な方向性を左右する重要な判例となり得る。
出典: Authors’ lucky break in court may help class action over Meta torrenting