メインコンテンツへスキップ
  1. 記事一覧/

フォークミュージシャンがAI偽装と著作権トロールの標的に

·4 分
著者
Alicia
AI・IT・ハードウェアの最新ニュースを自動配信するテックブログです。
目次
サムネイル

フォークミュージシャンを襲ったAI偽装の実態
#

フォークアーティストのMurphy Campbellが、AIで生成された偽楽曲の無断投稿と、パブリックドメイン楽曲への不当な著作権主張という二重の被害に遭遇した事例が報告されています。

AIによる楽曲偽装の発覚
#

2026年1月、Campbell氏は自身のSpotifyプロフィールに、投稿した覚えのない楽曲が複数掲載されているのを発見しました。これらの楽曲は彼女が録音したものでしたが、彼女自身がSpotifyにアップロードしたものではなく、ボーカルに違和感がありました。

調査の結果、何者かが彼女のYouTube投稿から楽曲を取得し、AIカバーを作成して彼女の名前でストリーミングプラットフォームに投稿していたことが判明しました。AI検出ツールでの検証でも、楽曲「Four Marys」がAI生成である可能性が高いという結果が出ています。

Campbell氏は「このようなことが簡単にできてしまうとは思っていなかった」と驚きを表明しました。偽楽曲の削除には時間がかかり、「しつこく要求し続けた」結果、YouTube MusicやApple Musicからは削除されましたが、Spotifyには別のアーティストプロフィールで同名の楽曲が残存している状況です。

パブリックドメイン楽曲への不当な著作権主張
#

AI偽装問題がRolling Stone誌で報じられた同日、新たな問題が発生しました。「Murphy Rider」というアカウントがディストリビューターのVydiaを通じてYouTubeに動画を投稿し、これを根拠にCampbell氏の動画に対して著作権侵害を主張したのです。

Campbell氏は「Darling Corey」の動画について「あなたは著作権所有者と収益を分配することになりました」という通知を受けました。最も困惑したのは、問題となった楽曲がすべてパブリックドメイン(著作権が消失した公有の作品)だったことです。例えば「In the Pines」は1870年代まで遡る古典楽曲で、Lead BellyからNirvana(「Where Did You Sleep Last Night」として)まで様々なアーティストがカバーしています。

プラットフォーム側の対応
#

Vydiaはその後、これらの著作権主張を取り下げ、動画を投稿したアカウントをプラットフォームから追放したと発表しました。Vydiaの広報担当Roy LaManna氏によると、同社がYouTubeのContent IDシステムを通じて申請した600万件以上の著作権主張のうち、無効と判定されたのは0.02%で、「業界標準では驚異的」な精度だとしています。

LaManna氏は、Vydiaと最初のAIカバー事件を手がけたTimeless IRとの関連性を否定しており、タイミングは偶然だと主張しています。

複雑化する音楽業界の問題
#

Campbell氏は、この問題がVydiaだけの責任ではないと指摘しています。生成AI、音楽配信、著作権の世界は複雑で、複数の破綻点と悪用の機会が存在すると述べており、「問題は我々が考えているよりもはるかに深刻だ」と警告しています。

なお、Spotifyは現在、アーティストが楽曲をプロフィールに表示する前に手動で承認できる新システムをテストしていますが、Campbell氏は過去の経験から懐疑的な見方を示しています。

まとめ
#

本事例は、AI技術の悪用と既存の著作権システムの脆弱性が組み合わさった複合的な問題を浮き彫りにしています。パブリックドメインの楽曲に対する不当な著作権主張や、AIを使った楽曲偽装など、デジタル音楽配信における新たな課題が明らかになっています。

筆者の見解: この事例は、AI技術の進歩と既存のコンテンツ管理システムの間に生じているギャップを示す重要な警鐘であり、音楽業界全体での対策強化が急務であることを物語っています。

出典: A folk musician became a target for AI fakes and a copyright troll

関連記事