
SpaceX IPO前に中国投資家が秘密取得した株式問題を解説#
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SpaceXが史上最大規模のIPO(新規株式公開)を実施する直前、中国や香港、ロシアを拠点とする投資家たちが、米国の仲介会社を通じて密かにSpaceX株を取得していたことが明らかになりました。
米国防総省向けのスパイ衛星製造など、機密性の高い政府事業を手掛けるSpaceXへの外国投資は、安全保障上の重大な問題を提起しています。
この記事でわかること#
- 誰が、いくらSpaceX株を秘密裏に取得したのか
- 仲介役「Tomales Bay Capital」の役割とは
- 米国の安全保障専門家はどう評価しているか
- SpaceX自身はIPOで何の措置を取ったか
【結論】重要ポイント3選#
① 中国・香港・ロシア拠点の投資家が少なくとも10数名、2018〜2021年にかけてSpaceX株を取得していた。
② 仲介会社Tomales Bay Capitalが投資家を募り、SpaceX株をファンドにパッケージ化して販売していた。
③ SpaceXはIPO実施時、「規制・コンプライアンス上のリスク」を理由に中国・香港の投資家を除外した。
事件の背景:なぜ問題になるのか#
SpaceXは民間企業でありながら、米国防総省向けのスパイ衛星製造など、極めて機密性の高い政府プロジェクトを担ってきた企業です。
米国政府は、中国が機密性の高い産業への投資をスパイ活動や先端技術へのアクセス手段として活用していると主張しています。
中国企業への米軍事請負業者への投資を明示的に禁じる法律は存在しないものの、規制は非常に厳しいのが現状です。
そのような状況下で、今回の投資実態が明らかになったことは、大きな波紋を呼んでいます。
仲介役「Tomales Bay Capital」とは?#
今回の問題の中心にあるのが、米国の投資会社Tomales Bay Capitalです。
同社の役割#
- SpaceX株を定期的に購入し、投資ファンドにパッケージ化
- そのファンドの持分を外部投資家に販売(手数料収入を得る)
- SpaceXの上場前に、非公開企業のSpaceXへの投資機会を提供
同社を率いるIqbaljit Kahlonは、SpaceXのリーダーシップと長年にわたり深い関係を持つ人物です。SpaceX CFOのBret Johnsenは法廷証言の中で、Kahlonについて「私よりも長くSpaceXに何らかの形で関わってきた」と述べています。
問題の投資ピッチ内容#
2021年に中国の潜在投資家に行ったピッチでは、Kahlonが以下の特典を約束していたことが裁判記録から判明しています。
- SpaceXの事業展開に関する四半期ごとの最新情報
- SpaceXへの訪問機会
- SpaceX CFOとのインタビュー機会
この内容が、安全保障上の懸念をさらに深めています。
判明した主な投資家と金額#
今回の情報はデラウェア州での企業紛争に関する裁判記録から得られました。ProPublicaが公開を求め、デラウェア州最高裁判所がこれを認めた結果、投資家リストが明らかになっています。
投資概要(ソース記載の事実のみ)#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投資期間 | 2018年〜2021年 |
| 投資規模 | 1件あたり80万〜4,000万ドル |
| 投資家の所在 | 中国本土・香港・ロシアなど |
| 投資家の属性 | 富裕層のビジネスパーソンまたはその子息 |
注目すべき個別ケース#
David Su氏(北京VC企業MPCi共同創業者)
- 2020年にSpaceXファンドへ1,500万ドルを投資
- 同氏の会社はSpaceXの中国競合企業への有力な出資者でもある
- Su氏が投資した衛星企業2社は、ロシアの民間軍事組織ワグネルグループへの支援疑惑で米国政府から制裁を受けた
- そのうち1社はイランの米軍攻撃支援疑惑で先月も再制裁を受けた
- MPCiは中国政府系投資ファンドとの協力実績があり、中国科学技術省のウェブサイトでは国家支援の航空宇宙産業開発パートナーとして名指しされていた
HAL9001 Partners Fund I(デラウェア州LLC)
- 2020年にSpaceXファンドへ約1,000万ドルを投資
- 設立文書にベンチャーキャピタリストのRoman Sobachevskiy氏の署名
- 米財務省は最近、Sobachevskiy氏が共同所有する別の会社に対し、制裁対象のロシア富豪のために投資を管理したとして多額の罰金を科した
- ただし、Sobachevskiy氏個人は不正行為の告発を受けていない
カタール王室関連投資
- Bracket Capitalというロサンゼルス・ロンドン・カタールにオフィスを持つ投資会社が、2017〜2020年にかけて計約4,800万ドルを複数取引で投資
- KahlonがSpaceX CFOに送ったメールによると、同社にはカタール王室の資金が含まれている
- カタールのドーハを住所とする「AM FIG Cayman Limited」という謎の事業体も2020年に約1,000万ドルを投資
安全保障専門家の見解#
インディアナ大学のSarah Bauerle Danzman教授(元国務省外国投資審査担当)はこう指摘しています。
「中国拠点の投資家がSpaceXの技術や戦略に関する非公開情報にアクセスできたかどうかが、米国政府の観点から見た核心的な問いだ。他の中国企業との利益相反があり、その情報を競合他社に流せるなら、国家安全保障上の懸念となりえる」
各社の反論・声明#
MPCi(Su氏の会社)の声明:
- Su氏はSpaceXの非公開情報を受け取っていない
- Su氏はシンガポール市民でシンガポール在住(※2024年のプロフィール記事では「過去20年間のほぼ100%を中国で過ごした」と記載)
Tomales Bay Capital(弁護士Ryan Stonerock氏)の声明:
- SpaceXに関する非公開・機密情報を投資家に提供していない
- 投資家はパッシブな有限責任組合員に過ぎない
- 四半期ごとの評価額を含むファンド財務情報以外のSpaceX情報は提供していない
- リストに記載の投資家の大多数は外国の敵対国の市民ではない
SpaceX: 取材に対してコメントなし。
SpaceXが取ったIPO時の対応#
SpaceXは先週実施したIPOにおいて、「規制・コンプライアンス上のリスク」を理由に、中国・香港の投資家による株式購入を禁止したとBloombergが報じています。
なお、今回のIPOは史上最大規模となり、イーロン・マスク氏は世界初のトリリオネア(兆万長者)となりました。
よくある質問(FAQ)#
Q. 中国企業が米国軍事請負業者に投資することは違法ですか? A. ソース記事によれば、明示的な禁止はないものの、そのような投資は「非常に厳しく規制されている」とされています。
Q. Tomales Bay Capitalはどのようにして投資家を集めたのですか? A. SpaceX株を購入してファンドにパッケージ化し、そのファンドの持分を投資家に販売する仕組みでした。SpaceXへのアクセスやCFOとの面談機会なども売り込み材料にしていたことが裁判記録から判明しています。
Q. 今回の情報はどこから出てきたのですか? A. デラウェア州での企業紛争に関する裁判記録です。ProPublicaが公開を申請し、デラウェア州最高裁判所がそれを認めました。
Q. Su氏は違法行為をしたのですか? A. ソース記事には「Su氏が不適切な行為をしたという証拠はない」と明記されています。
まとめ:押さえておくべき重要ポイント#
- SpaceX上場前、中国・香港・ロシア拠点の投資家が米国仲介会社経由でSpaceX株を秘密裏に取得していた
- 投資規模は1件80万〜4,000万ドル、期間は2018〜2021年
- 一部の投資家は、制裁対象企業や中国政府系ファンドとの関係が指摘されている
- 仲介会社はSpaceXへの特別アクセスを投資の売り文句にしていた
- SpaceXはIPO時に中国・香港投資家を除外する措置を取った
- 安全保障専門家は「非公開情報へのアクセスがあったかどうか」が核心的問題と指摘
宇宙産業と国家安全保障、そして外国資本の関係は今後も注視が必要な問題です。詳細な個別投資家の情報や法的背景については、ぜひ元記事もご確認ください。
参考元: Before SpaceX IPO, investors in China secretly acquired stakes


