
Polymarketが「偽の高額当選動画」をSNSに拡散していた#
あなたがSNSで見た「予測市場で10万ドル獲得!」という動画、実は演出だったかもしれません。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の調査報道により、予測市場プラットフォームPolymarketが偽サイトを使った虚偽の当選動画を大量にSNSへ拡散していた実態が明らかになりました。
この記事で分かること#
- Polymarketがどのような方法で偽動画を制作・拡散したか
- 偽サイト「poiymarket.com」の存在と手口の詳細
- Polymarketの米国内での規制上の位置づけ
- WSJ調査が明らかにした具体的な被害規模
約6分で読めます。
【結論】重要ポイント3選#
- Polymarketは偽サイトで「演技」させた動画を制作し、SNSに大量投稿させていた。 クリエイターへの報酬は非開示のまま運用されていた。
- WSJが確認した10人のクリエイターによる偽ベット総額は約190万ドル相当。 実際には存在しない賭けだった。
- Polymarketの主要プラットフォームは2022年から米国内で利用制限中。 それにもかかわらず、米国ユーザーをターゲットにしたプロモーションが行われていた。
詳細は以下の各セクションで順を追って解説します。
Polymarketとは?基本概念の解説#
Polymarketは、いわゆる「予測市場(Prediction Market)」プラットフォームです。
予測市場とは、政治・経済・スポーツなどの将来の出来事に対して資金を賭け、予測が当たれば利益を得る仕組みです。
Polymarketはこの分野で世界最大規模を自称しています。
ただし、米国では**CFTC(商品先物取引委員会)**が2022年に「未登録の取引所として違法に運営している」と判断。
それ以降、主要プラットフォームは米国からはビュー専用モードに制限されています。
現在Polymarketは、CFTCの認可取得を目指しながら、別途CFTCライセンスを持つ企業を買収してPolymarket USという米国向け限定サービスもアプリで提供しています。
偽動画スキャンダルの全貌:手口の詳細#
偽サイト「poiymarket.com」の巧妙な仕掛け#
WSJの報道によると、Polymarketは自社のウェブサイトにそっくりなコピーサイトを複数構築しました。
その中でも注目されたのが「poiymarket.com」というURLです。
「l(エル)」ではなく「i(アイ)」を使ったスペルミスのドメインで、大文字表記にすると「polymarket.com」と見分けがつかない。
このサイトはパスワード保護されており、クリエイターはここで架空のベットを演じる動画を撮影していました。
WSJがPolymarketに問い合わせた後、このサイトは閉鎖されています。
動画の典型的なフォーマット#
WSJが確認した動画には、明確なテンプレートが存在していました。
- Polymarketを開く
- ベットを置く
- 獲得額を「フリーマネー(タダで稼いだお金)」と表現する
クリエイターたちは箇条書きの台本を受け取り、それに沿った動画を制作。
Polymarketがレビューし、「あからさまに偽に見える」場合は撮り直しを指示していたと報じられています。
報酬と非開示の仕組み#
クリエイターへの報酬は月額2,000〜3,000ドルでした。
しかし当初、クリエイターたちはPolymarketとの関係を開示していませんでした。
WSJが取材を開始した後になって、ようやく各クリエイターのSNSプロフィールに「@polymarket partner」の表記が追加されたとされています。
調査が明らかにした被害規模#
WSJは10人のクリエイターによる1,105本の動画をレビューしました。
以下に主な数値を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査対象動画数 | 1,105本(10人のクリエイター) |
| 偽ベット総額 | 約190万ドル |
| 「当選反応動画」本数 | 118本 |
| 当選演出の総額 | 約90万ドル |
| 実際にはいくら損していたか | 約166,000ドル超の損失 |
| SNS総再生数 | 1億4,000万回以上(TikTok・YouTube・Instagram) |
再生数データはアナリティクス企業TubularのデータをWSJが引用したものです。
具体的なケース:大学生クリエイターの例#
WSJが取り上げたクリエイターの一人、George Makihara氏は大学生です。
彼は1月に「トランプ大統領が公の場で『McDonald’s』という単語を発言するかどうか」という賭けで10万ドル獲得したとする動画を投稿しました。
しかしPolymarketの実際の取引データを確認したところ、1月にそのような賭けで誰かが勝ったという記録は存在しなかったとWSJは報告しています。
Makihara氏が1月から5月の間に投稿した145件のベット動画は、すべて架空だったとされています。
米国規制との複雑な関係#
このスキャンダルが特に問題視される背景には、規制の抜け穴があります。
Polymarketは米国ユーザーへのアクセスを制限しているにもかかわらず、今回のプロモーションは視聴者の60%以上が米国在住の場合のみクリエイターに報酬を支払う仕組みだったと報じられています。
つまり、意図的に米国ユーザーをターゲットにしていたことになります。
なお、虚偽・誤解を招くプロモーションは**FTC(連邦取引委員会)**による処罰対象となり得ます。
ただし、トランプ政権は予測市場への規制を緩める方向で動いており、CFTCは予測市場に厳しい規制を課そうとする州を相手取って訴訟を起こしています。
また、PolymarketとライバルのKalshiはいずれもドナルド・トランプ・ジュニアをアドバイザーとして迎えており、トランプ・ジュニアが支援するベンチャーキャピタルがPolymarketに出資していることも報じられています。
Polymarketの公式回答#
Ars TechnicaがPolymarketに問い合わせたところ、同社はWSJの具体的な指摘には直接答えず、以下のコメントを発表しました。
「世界最大の予測市場として、正確・公正・透明なマーケットを維持することにコミットしています。プロモーションコンテンツの包括的な監査を実施し、当社の基準および適用される規制・法的開示要件への準拠を確認します。」
具体的な施策や謝罪については言及されていません。
よくある質問(FAQ)#
Q. Polymarketは現在も日本から利用できますか? A. ソース記事では日本からの利用に関する言及はありません。詳細は元記事を参照してください。
Q. 偽動画を見て実際に投資した人への補償はあるの? A. ソース記事にはその点に関する情報は含まれていません。詳細は元記事を参照してください。
Q. SNSプラットフォーム側の対応は? A. ソース記事ではTikTok・YouTube・Instagramのプラットフォーム側の対応については触れられていません。
Q. このような手法はステルスマーケティングに該当するの? A. 報道によると、クリエイターたちは当初Polymarketとの関係を開示していませんでした。FTCによる処罰対象となり得ると記事中で言及されています。
まとめ:押さえておくべき重要ポイント#
- Polymarketは偽コピーサイトを自社で構築し、架空の高額当選動画を大量制作・拡散した。
- WSJが特定した偽ベット総額は約190万ドル、SNS総再生数は1億4,000万回超。
- クリエイターへの報酬は月額2,000〜3,000ドルで、当初関係は非開示だった。
- Polymarketは米国内で主要サービスを利用制限されているにもかかわらず、米国ユーザーをターゲットにプロモーションを展開していた。
- 同社は「包括的な監査を実施する」と表明したが、具体的な説明や謝罪はない。
このスキャンダルは、急成長する予測市場業界における規制の空白と、SNSを悪用したマーケティング手法のリスクを改めて浮き彫りにしました。
今後のCFTCや各規制機関の動向に注目が必要です。
参考元: Polymarket’s viral videos showed people winning big, but the bets were fake





