
Apple対OpenAI:衝撃の営業秘密訴訟が示す「組織ぐるみの不正」#
2026年7月13日、Appleが人工知能企業OpenAIを相手取り、営業秘密の不正取得に関する訴訟を提起した。41ページに及ぶ訴状には、元・現Apple従業員を介した組織的な機密情報の搾取を示す、驚くほど具体的な記述が並んでいる。
訴状が明かす衝撃の「生の声」#
「LOL、ネットワークストレージにアクセスできた。面白すぎ」#
訴状の中で最も注目を集めるのが、元Appleシニア・システム電気エンジニアのChang Liu氏が、Apple社員のYu-Ting「Alyssa」Peng氏に送ったとされるこのメッセージだ。Appleの主張によると、Liu氏は認証バグを悪用し、Peng氏のApple支給の業務用コンピューターからAppleのシステムに不正アクセスしたとされる。Peng氏はAppleとOpenAIの間の「窓口役」として機能していたと訴状は指摘しており、後に彼女自身もOpenAIに転職している(ただし本訴訟の被告ではない)。
「もう一台コンピューターがある」#
Liu氏はAppleを退職してから数時間以内に、Apple所有の別のコンピューターへのアクセスを示唆するメッセージを送っていたとされる。このメッセージもPeng氏のApple支給ラップトップから発見されたという。
部品を「持ち込んで」:面接での「見せて・話して」セッション#
さらに衝撃的なのが、OpenAIのチーフ・ハードウェア・オフィサーであるTang Yew Tan氏に関する記述だ。Tan氏はAppleで24年間勤務し、iPhoneおよびApple Watchのプロダクトデザイン担当VPを最後に同社を離れた人物。Appleの主張によると、同氏はOpenAIへの入社候補者に対し、Appleの「実際の部品」「CAD・デザインの成果物」「プロトタイプ」を面接に持参するよう指示したとされる。ある候補者はその要求に驚き、「そんなものをオフィスから持ち出せるとは知らなかった」と発言したとAppleは主張している。
「恐怖の即日退場」を避けるための内部工作#
訴状はさらに、OpenAIが退職予定のApple従業員に対し、Appleのセキュリティ手続きを回避する方法を指南していたと主張する。Appleには退職通知後、即座に社員をオフィスから退去させる「dreaded walkout(即日退場)」という手続きが存在するが、OpenAIはAppleの内部文書を新入社員に共有し、この手続きを回避して通常の2週間の引き継ぎ期間を確保させようとしたと訴状は述べている。その期間中、機密情報への継続的なアクセスが可能になるためだ。
退職時に書類へのサインを求められたら「すぐOpenAIに連絡を」#
Appleの主張によると、OpenAIはAppleの退職面談で何らかの書類への署名を求められた場合、即座にOpenAIへ報告するよう候補者を指導し、署名しないよう助言していたとされる。
io社の関与と「6.5億ドルの買収」#
Apple共同創業者とともにiPhoneのデザインを長年手がけたJony Ive氏らが設立した企業「io」も今回の被告に名を連ねている。ioは昨年OpenAIに65億ドルで買収された企業だ。Appleは、io社がAppleのパートナー企業を欺き、Appleの許可を得たと偽って機密の「金属仕上げ技術」を実施させたと主張。さらにOpenAIは、Apple内部関係者しか知り得ない「社内用語」を使い、電力・バッテリーに関するサプライヤーへの問い合わせを行ったとも訴えている。
注目ポイント:「氷山の一角」と400名超の転職者#
Appleは訴状の中で、今回の訴状に記載された事例は「不正行為のほんの一端に過ぎない」と明示しており、証拠開示手続き(ディスカバリー)を通じて「今回記述した数件の事例をはるかに上回る規模で不正取得が行われていたことが明らかになる」と述べている。
また訴状は、現在OpenAIに勤務する元Apple従業員の数が「400名超」に上ることも明かしており、機密情報漏洩の潜在的規模を示唆している。
なお、Appleは2026年2月の時点でOpenAIに対して懸念を伝えようと接触を試みたが、OpenAIからの回答はなかったと訴状は述べている。OpenAI側は7月13日にX(旧Twitter)への投稿で「他社の営業秘密に関心はない」とのみコメントした。
まとめ#
この訴訟は、AppleとOpenAIという二大テクノロジー企業の対立という構図にとどまらず、AIハードウェア開発競争の激化を背景に、人材・技術情報をめぐる争いがいかに熾烈になっているかを示すものと言える。
筆者の見解: 訴状に記された「経営幹部によって正常化・例示された」という表現は、Appleが個々の従業員の問題ではなく、OpenAIという組織の文化そのものを問題視していることを明確に示している。証拠開示手続きが進むにつれ、さらなる詳細が明らかになる可能性があり、今後の動向に注目が集まる。
詳細は元記事を参照のこと。
出典: The wildest allegations in Apple’s trade secrets lawsuit against OpenAI



