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皮膚に絵の具で描くバイオセンサー、ペンシルバニア州立大が開発

·5 分
著者
Alicia
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目次
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皮膚に「塗る」だけでバイオセンサーに変わる導電性インク
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ペンシルバニア州立大学の研究チームが、皮膚に直接塗布してそのまま乾燥させるだけで機能する電極になる、新しい導電性インクを開発した。この研究成果は学術誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』に掲載されている。


eタトゥーとは何か、そして従来の限界
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「eタトゥー(epidermal electronics)」とは、接着剤を使わずに皮膚に密着させる超薄型の電子デバイスの総称で、10年以上の開発の歴史がある。心拍・体温・筋肉の収縮など、様々な生体信号を計測できるが、従来のeタトゥーにはいくつかの課題があった。

  • 曲面や毛が多い部位では機能が低下する
  • 広い面積をカバーするには個別のカスタム設計が必要(生体信号は空間的に分散しているため)
  • 市販の電極はあらかじめ成形されてから皮膚に貼るため、皮膚との間にわずかな空隙が生じ、信号の精度が落ちる
  • 汗や毛髪も計測精度の低下要因となる

また、生体計測に用いられる材料としては、金属などの硬い素材は安定性が高い反面、運動時に外れやすく、近年注目されているハイドロゲルは水を吸収して皮膚の動きに追従できるものの、長時間の使用で劣化するという問題があった。


「WE-PPD」インクの仕組み
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今回開発された導電性インクは、研究チームによってWE-PPDと命名されている。水ベースのエタノール/ポリビニルアルコール溶液に複数の高分子(ポリマー)と酸性添加物を混合して作られており、主な成分として以下が挙げられている。

  • PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)):電気導電性を担う
  • DBSA(4-ドデシルベンゼンスルホン酸):導電性の向上と同時に可塑剤としてインクに柔軟性を付与

共著者のLarry Cheng氏(ペンシルバニア州立大学、機械工学)によれば、このインクは「ほぼフェイスペイントのように振る舞う」という。塗布直後はほぼ透明で、食用色素を加えることで任意の色に着色でき、動物やキャラクターなど自由なデザインで皮膚に描くことができる。インクが皮膚の微細な凹凸をしっかりと埋めるため、電極と皮膚の接触面積が高まり、信号の記録精度が向上する。多孔質の銀製テクスチャに組み込んだり、硬質デバイスと統合したりすることも可能だとされている。


実際の計測テスト結果
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研究チームは人体への実験として、以下の計測を行った。

  1. トレッドミルでの走行・ウエイトリフティング中の心拍活動(ECG)計測
  2. 義手ロボットを操作するためのジェスチャー認識
  3. 日常生活中の脳波(EEG)計測(共著者の頭髪を通して計測)

テスト結果として報告されている主な数値・特性は以下の通り。

  • 電極は最大170%まで伸長しても機能を維持
  • 標準的な医療用フィルムと比較して、水蒸気透過性が大幅に高い
  • 12時間の継続使用でも皮膚への刺激なし(これが上限ではないとチームは述べている)

注目ポイント:使い捨て電極+再利用可能センサーモジュールの可能性
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Cheng氏は将来的なビジョンとして、「高価なセンシングモジュールは再利用し、電極そのものは使い捨て可能にする」というコンセプトを語っている。電極は洗い落として再塗布が容易であり、1本のインクボトルで数日から1週間分の複数電極を賄えるだけの量があるとしている。研究チームはすでにこの導電性インクの仮特許を申請済みだ。

また、センサーが複雑な形状にもフィットする性質を活かして、植物の健康モニタリングへの応用も研究対象として検討されている。


現状の課題と今後の展望
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臨床応用に向けてはまだ解決すべき課題がある。MRIイメージングにおけるアーチファクト(画像の乱れ)が生じにくい点は有望とされているが、センサーの強力な密着性からRF(高周波)誘起加熱が懸念されており、臨床使用前に包括的な安全性評価が必要だとチームは述べている。この点が今後の研究課題のひとつとなっている。


まとめ
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ペンシルバニア州立大学が開発したWE-PPD導電性インクは、皮膚に直接塗布・乾燥させるだけで高精度なバイオモニタリング電極となる技術だ。曲面・毛髪部位への対応、高い伸縮性、長時間の皮膚刺激のなさといった特性を持ち、ECG・EMG・EEGといった多様な生体信号の計測で実証されている。臨床応用には安全性評価が必要であるものの、使い捨て電極と再利用センサーモジュールを組み合わせた新しいウェアラブルのあり方を示す研究として注目される。

筆者の見解: 「塗る」という行為でセンサーを自在に設計・配置できるというアプローチは、従来の「貼る」wearableの限界を根本から見直す発想であり、医療・スポーツ・リハビリなど複数分野への波及が期待される方向性だと感じる。ただし、臨床応用には記事が指摘するRF加熱などの安全性課題のクリアが不可欠であり、今後の研究の進展が鍵を握る。


出典: These painted e-tattoos could be the future of wearable biosensors

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