メインコンテンツへスキップ
  1. 記事一覧/

EU、Googleに検索データ共有とAndroid AI開放を義務化

·5 分
著者
Alicia
AI・IT・ハードウェアの最新ニュースを自動配信するテックブログです。
目次
サムネイル

EUがGoogleに対し史上最大規模の競争促進措置を発動
#

欧州委員会(European Commission)は、デジタル市場法(DMA:Digital Markets Act)に基づく新たな「仕様措置(specification measures)」を正式発表し、GoogleはAndroidにおけるAI開放と検索データの競合他社への共有を法的拘束力をもって義務付けられることになった。Googleはこれらの措置に強く反対している。


2つの柱:Android AI開放と検索データ共有
#

Android:Gemini独占を終わらせる
#

現在、GoogleのAIアシスタント「Gemini」はAndroid上で特権的な地位を占めている。Googleが認定したすべてのAndroidスマートフォンにGeminiはプリインストールされており、「Hey Google」というホットワードで起動できるほか、システムおよびアプリの自動化機能、画面コンテンツへのアクセスなど、深いレベルでの統合が実現している。

欧州委員会はこの状況を問題視している。「サードパーティのAIアシスタントは革新的なサービスを提供できる範囲が制限されており、EUのAndroidユーザーの60%にとって魅力が薄れている」と委員会は指摘している。

新措置によってGoogleは、競合するAIプラットフォームがAndroidに深く統合できるよう開放しなければならない。ユーザーが自分で選んだAIアシスタントをインストールしても、現在Geminiが提供している機能が失われないようにすることが求められる。委員会は今回の措置をユーザーのプライバシーとデバイスの安全性を維持するように設計したとしている。

Googleはこの方針に対し、スマートフォンメーカーがAIツールの審査において重要な役割を果たしているとして、非Gemini AIへの深いアクセスを認めることはセーフガードを迂回するリスクがあると主張している。

検索:データを競合他社に開放
#

もう一つの柱は、Googleの検索データの共有だ。Googleは競合する検索プロバイダーに対し、自社が持つものと同等の検索指標データへのアクセスを、透明性を保ちつつ合理的な料金で提供しなければならない。

欧州委員会によれば、こうした措置が必要とされた背景には、Googleがこれまで提示してきたデータ共有案が十分ではなかったという判断がある。また、今回のルールではAIチャットボットも検索サービスと同等に扱われ、データ共有の対象となる。EU規制当局は、Googleが検索市場で持つ支配的地位に小規模な企業が対抗するためには、こうしたデータへのアクセスが不可欠だと主張している。

Googleは検索データの共有についても、ユーザープライバシーを脅かすリスクがあると反論している。なお、DMAの措置ではデータの多層的な匿名化処理が求められており、欧州委員会は個人を特定できるデータの取り扱いが適切になるよう決定内容を修正する余地があるとしている。


Googleの反発:「バランス」を求める声
#

Googleのグローバル担当社長であるKent Walker氏は、今回の措置が正式決定される前から反対を表明しており、決定後も批判的な姿勢を崩していない。Walker氏は「今日の決定は、数百万人のヨーロッパ市民にとって不可欠なプライバシーとセキュリティの保護措置を損なうリスクがある」と述べている。

さらにWalker氏は、今回の措置がユーザープライバシーだけでなく、企業の営業秘密、さらには国家安全保障にまで影響する脅威だと位置付けている。Googleとしては、DMAの目標を満たしつつも、より節度ある解決策を提案していたとしており、欧州委員会が選んだ方向性は行き過ぎだと主張している。


注目ポイント:スケジュールと法的拘束力
#

これらの措置は法的拘束力を持つ点が重要だ。Googleには詳細を規制当局とすり合わせる猶予期間が与えられているものの、期限は明確に定められている。

  • 検索データの共有開始:2027年1月
  • AndroidへのAI統合開放:2027年7月

DMAはGoogleのような「ゲートキーパー(市場支配的プラットフォーム)」に対して強制力を持って適用される。Apple、Meta、Googleなどの大手テクノロジー企業はすでに同法に基づく制裁金の支払いや事業慣行の変更を命じられており、Googleも例外ではない。


まとめ
#

今回の欧州委員会による正式決定は、DMAの運用において非常に重要なマイルストーンとなる。AndroidにおけるAI競争の開放と、Google検索データの競合他社への共有という2本柱の措置は、EUにおけるデジタル市場の競争環境を大きく変える可能性がある。

筆者の見解: Googleが主張するプライバシーへの懸念には一定の合理性もあるが、欧州委員会が多層的な匿名化処理などのガードレールを設けていることも事実だ。2027年という期限に向けて、GoogleとEU規制当局の間でどのような実装の詳細が固まっていくのか、引き続き注目が必要だろう。


出典: It’s official: EU will force Google to share search data and open up AI on Android

関連記事