
テレプロンプター担当者が演説内容を「先読み」して賭けに勝ち続けた#
ABCニュースの報道によると、トランプ大統領のテレプロンプター担当者が、大統領の演説内容を事前に把握できる立場を悪用し、予測市場プラットフォーム「Kalshi」で10万ドル以上(約1500万円相当)を不正に獲得していたとされる。Kalshiの調査チームがこれを検知し、当局へ報告したことで問題が表面化した。
事件の詳細#
被疑者と対象となった市場#
ABCニュースが報じた内容によれば、被疑者はGabriel Perezという人物で、2016年からトランプ大統領のテレプロンプター操作を担当してきた人物だ。連邦捜査当局は、Perez氏が内部情報を利用してKalshi上で賭けを行ったと見ている。
対象となったのは、Kalshiが提供する「メンションズ(mentions)市場」と呼ばれるカテゴリ。これは、著名人が特定のイベントでどのような発言をするかをユーザーが予測して賭けるというユニークな市場だ。Perez氏は、大統領が2月に行った一般教書演説、名誉勲章授与式、世界経済フォーラムでのスピーチなど、12件以上のイベントに関連する市場で賭けを行ったとされている。
Kalshi側の対応#
Kalshiの執行責任者であるRobert DeNault氏は、The Vergeへの声明で次のように述べた。「当社のサーベイランスチームがこれらの取引を迅速に検知し、取引所内調査の後、商品先物取引委員会(CFTC)に報告した。この個人への請求を行い、規制当局の調査に協力してきた」と説明している。
ただし、同様の市場で賭けを行っていた他のユーザーへの返金対応については、Kalshiは公式に回答しなかった。
当局の動向#
予測市場を監督するCFTC(商品先物取引委員会)の広報担当者は、調査の有無について「確認も否定もできない」と回答するにとどまった。ABCニュースによれば、CFTCとPerez氏の間では、得た利益を返還し、今後同様の取引を行わないことを条件とした和解交渉が進んでいるという。なお、連邦検察は刑事捜査の開始を見送ったと報じられている。
なぜこのニュースが重要なのか#
予測市場とインサイダー取引問題#
予測市場は、特定のイベントの結果に対してユーザーが資金を賭けるプラットフォームだ。KalshiやPolymarketといったサービスは近年急速に普及しており、政治・経済・スポーツなど幅広いテーマで市場が形成されている。
しかし、こうした市場の拡大に伴い、インサイダー取引の問題も繰り返し報告されてきた。ソース記事によれば、これまでにGoogleの従業員、政治家、選挙キャンペーンスタッフ、米軍兵士、そして不正行為で失脚した元議員のGeorge Santos氏など、さまざまな立場の人物が内部情報を利用して予測市場で賭けを行ったと報じられている。
プラットフォーム側の対策#
Kalshiは先月(記事公開時点から)、インサイダー取引や操作リスクの高い市場については、ユーザーが賭けを行う前に雇用情報の開示を義務付けるルールを導入したと報じられている。今回の事件はその直前までに行われた取引であり、こうした規制強化の背景にある実態を改めて示すものとなっている。
まとめ#
トランプ大統領のテレプロンプター担当者が演説内容の事前知識を活用し、予測市場で多額の利益を得ていたとされる今回の事件は、急成長する予測市場が抱えるインサイダー取引リスクを改めて浮き彫りにした。Kalshiの監視システムがこれを自主的に検知・報告した点は注目に値するが、被害を受けた他の賭け参加者への対応は不透明なままだ。CFTCとの和解交渉が進む一方、刑事訴追は見送られた経緯も含め、予測市場の規制のあり方が引き続き問われることになりそうだ。
筆者の見解: 予測市場は「市場の知恵(集合知)」を活用する仕組みとして注目されているが、内部情報を持つ者が参加することで公平性が根本から損なわれる。プラットフォームによる自主的な監視・報告の仕組みは評価できるものの、法的規制の整備が追いついていない現状では、同様の事案が今後も繰り返されるリスクは排除できないと感じる。
出典: Kalshi says it caught Trump’s teleprompter operator insider trading





