
SpaceXがスターシップV3の打ち上げを突然中断#
2026年7月17日(現地時間7月16日)、SpaceXはテキサス州南部の発射施設において、アップグレードされたスターシップロケットシステム(V3)の2回目の打ち上げ試みを、ブースター点火直後に緊急中断しました。
何が起きたのか——中断の経緯#
カウントダウンはT-マイナス1分の時点で短時間の保留があったものの、すぐに再開されました。カウントダウンが終了し、発射台の放水システムが起動、スーパーヘビー・ブースターのエンジンが点火を開始——しかし直後に、すべてが突然シャットダウンしました。
SpaceXの中継放送に表示されたグラフィックによると、新型Raptorエンジンのうち4基が点火時に起動しなかったとされています。
CEOのイーロン・マスク氏は自身のSNSプラットフォームXにおいて、「いくつかのエンジンが始動せず、自動打ち上げ中断が作動した」と説明し、そのうち2基を交換すると明かしました。また、次回の打ち上げ試みは来週以降になるとも投稿しています。
SpaceXは現在、スーパーヘビー・ブースターと上段ステージ(シップ)の両方から推進剤を抜き取り、今回の問題の原因を特定する作業を進めています。
今回の打ち上げの目的と背景#
SpaceXは今回の打ち上げで、第3世代Starlink衛星を初めて宇宙へ投入することを目指していました。ただし、スターシップがまだ地球軌道への到達能力を実証できていないため、これらの衛星は展開から約20分後に大気圏で燃焼・消滅する設計になっていました。
V3初飛行(2026年5月)の成果と課題#
今年5月に行われたスターシップV3の初飛行は、「功罪相半ばする結果」でした。
- 成果: 新型ロケットの初打ち上げに成功し、複数のStarlinkシミュレーター衛星を宇宙へ展開
- 課題1: スーパーヘビー・ブースターがメキシコ湾への模擬着陸試みの前に故障し、FAAによる原因調査が命じられた
- 課題2: 上段ステージもStarlinkシミュレーター展開中にエンジン1基を失った
- プラス面: 上段ステージは水上への模擬着陸を問題なく遂行
FAAは今週初めに原因と修正策を特定したとして、スターシップの再飛行を承認していました。
なぜこのニュースが重要なのか#
1. 「軌道上データセンター」構想への影響#
アップグレードされたスターシップと第3世代Starlinkは、SpaceXが「軌道上データセンター」のコンセプトを技術的・経済的に実証するための核心的な存在です。この打ち上げ中断は、その計画における明確な遅延を意味します。
2. Starlinkの事業的重要性#
StarlinkはSpaceXにとって最大の収益源であり、唯一の黒字部門です。次世代Starlink衛星の展開が遅れることは、事業面でも無視できない影響を持ちます。
3. IPO後初の試験飛行における中断#
今回は、SpaceXが2026年6月12日に史上最大規模のIPOを実施して以来、初めてのスターシップ試験飛行試みでした。同社はIPOで850億ドル超を調達し、一時的にAmazonやMicrosoftに匹敵する評価額に達しましたが、その後株価は下落傾向が続いていました。
打ち上げ中断を受け、SpaceXの株価は時間外取引で4%超下落しており、終値はIPO価格の135ドルを下回って引けていました。
まとめ#
SpaceXのスターシップV3・2回目の打ち上げ試みは、Raptorエンジン不始動を原因とする自動中断システムの作動により、点火直後に断念されました。2基のエンジン交換と原因究明が完了する来週以降まで、次の打ち上げ試みはお預けとなります。
上場企業としての注目度が高まる中での中断であり、株価への即時的な影響も確認されています。第3世代Starlink衛星の展開、そして「軌道上データセンター」という壮大な構想の実現に向け、SpaceXが次回どのような結果を見せるのか、引き続き注目が必要です。
筆者の見解: ロケット開発において自動中断システムは安全のための重要な仕組みです。今回の中断は、その仕組みが正常に機能したことを示す一面もあります。しかし、上場後初の試験飛行での中断が市場心理に与えるインパクトは、純粋な技術的観点とは別に考慮すべき要素と言えるでしょう。
出典: SpaceX suddenly aborts second Starship V3 launch after ignition (TechCrunch, Sean O’Kane, 2026年7月16日)




