
ロボタクシーを巡る「二つの道」#
自動運転車(AV)業界が、連邦政府による規制緩和と州・地方政府による規制強化という、真逆のベクトルに同時にさらされている。2026年8月2日付のTechCrunch Mobilityが伝えた今週のモビリティ業界動向は、まさにその矛盾を鮮明に映し出している。
連邦レベル:ZooxがNHTSAの特例認可を取得#
米国家道路交通安全局(NHTSA)は今週、自動運転技術に関する一連の発表を行い、規制の簡素化と技術の開発・普及加速を目指す姿勢を明確にした。
中でも最も注目を集めたのが、Zooxへの特例措置だ。NHTSAはZooxに対し、連邦自動車安全基準(FMVSS)のうち8項目について一時的な適用免除を認めた。これにより、Zooxは自社開発のカスタムロボタクシーで乗客から料金を徴収するサービスをついに開始できる環境が整った。
Zooxにとって、この認可は商用ロボタクシーサービス立ち上げに向けた最後の大きな規制上のハードルの一つだったとされており、同社によれば有料ライドサービスの開始は目前に迫っているという。まずラスベガスでの有料乗車から展開を始める予定だ。
州・地方レベル:Waymoへの風当たりが強まる#
一方、Waymoをはじめとするロボタクシー事業者は、自律走行車と緊急対応車両との干渉問題をめぐり、これまで以上に厳しい視線にさらされている。
発端の一つは、7月4日の独立記念日に起きた出来事だ。サンフランシスコで複数のWaymoロボタクシーが渋滞中に動けなくなり、バッテリーが切れて主要道路を塞ぐ事態が発生。サンフランシスコ市長のDaniel Lurieは、この出来事から約2週間後、州規制当局に対してAV規制の強化を求めた。
さらにカリフォルニア州選出のKevin Mullin下院議員(民主党)は今週、連邦規制当局が自律走行車事業者に対する全国最低安全基準を策定するよう指示する法案を提出した。
「自律走行車が緊急対応者の業務を妨害する事案が、由々しき数に上っており、率直に言って容認できない水準だ」とMullin議員は記者会見で語った。同記者会見にはLurie市長も出席した。
注目のその他トピック#
今週はロボタクシー以外にも注目すべき動きが複数あった。
ロンドンが次のロボタクシー戦場に BaiduがLyftおよびFreenowとのパートナーシップの一環としてロンドンでの自動運転車テストを開始。2027年には一般向けの配車サービス開始を目指している。またWaymoは今年4月からロンドンで有人安全オペレーター同乗のテストを実施しており、UberとそのAVパートナーWayveも今年中のロンドンでのロボタクシーサービス開始計画を発表している。
Waymoがフリーウェイ走行を再開 Waymoのロボタクシーが、工事区間での自動運転挙動への懸念から高速道路走行を停止してから2ヶ月以上が経過し、フリーウェイへの復帰を果たした。
ドローン配送が活況 WalmartとAlphabetのWingがフロリダ中部でドローン配送サービスを開始。DoorDashも独自のドローン配送事業の構築を発表し、配送アプリへの統合を目指すとしている。
GMとFordのEVトーンダウン TechCrunchがHudson Labsと共同で過去7年間のGMとFordの四半期決算説明会を分析した結果、両社がEVについて言及する頻度がパンデミック前を下回る水準に低下していることが明らかになった。
まとめ#
NHTSAによるZooxへの規制免除はロボタクシー商用化に向けた大きな前進であり、連邦レベルでのAV推進姿勢は明確だ。しかし、サンフランシスコでの渋滞ブロック事件や緊急車両との干渉問題は、業界全体への信頼に影響を与えており、州・地方レベルでは規制強化の声が高まっている。
筆者の見解: ロボタクシー産業は技術的な進歩と社会的な受容の両面で試されている局面にある。規制の「アクセル」と「ブレーキ」が同時に踏まれる状況は、業界がいかに実社会のニーズと安全性の担保を両立させるかという本質的な問いを突きつけている。今後の各社の対応と規制の行方に注目が集まる。




