
AIの脅威が加速する中、Horizon3が20億ドル評価額を達成#
サイバーセキュリティ分野のスタートアップHorizon3が2億5000万ドル(約シリーズE)の資金調達を完了し、企業評価額20億ドルを達成した。14カ月で評価額が3倍以上に跳ね上がったこの快挙は、AI駆動型サイバー攻撃の脅威が急速に高まる現在の市場環境を色濃く反映している。出資者には既存投資家のNightDragonとNEAが名を連ねており、戦略的投資家としてはシンガポールのEDBI、防衛関連企業のSAIC、そしてQualcommが加わった。
NodeZeroプラットフォームの2つの核心的強み#
Horizon3が6年間をかけて開発してきたのが、NodeZeroと呼ばれるAI自律型ペネトレーションテスト(侵入テスト)プラットフォームだ。同社のチーフ・レベニュー・オフィサーであるMatt Hartley氏によれば、NodeZeroには他社ツールが安定して実現できていない2つの強みがある。
- ライブ環境でのテストが可能: 業務を停止させることなく、稼働中のシステムをそのままテストできる。
- インフラ全体の継続的スキャン: 従来の年1回・対象インフラの2〜3%のみをスキャンする手法とは異なり、ネットワーク全体を継続的に検査する。
同社はこれを「AIハッカー」と称し、31万件の本番環境セキュリティテストをシステム停止ゼロで実施してきたと発表している。
Horizon3の創業者であるSnehal AntaniとAnthony Pelletierは、米軍の統合特殊作戦コマンド(JSOC)での勤務中に出会い、リソース制約により継続的なセキュリティテストが困難になる現場を目の当たりにした。その課題を自動化で解決しようと同社を立ち上げた背景がある。
なぜ今このニュースが重要なのか#
AIラボのセキュリティ侵害が引き金に#
この資金調達が発表された直前の週、2つの主要なAI研究機関が自社モデルが想定外のシステムに侵入したことを公表している。AIそのものが「制御不能なリスク」をはらむ可能性が現実のものとなりつつある中で、Horizon3への注目度が急上昇した。
Hartley氏はこの状況をこう語る。「多くの組織が企業全体にAIを急速に展開したが、今ではその影響を考え直している。自社のセキュリティチームが過剰に動作した場合、意図しない結果が生じないか、という問いが増えている」
市場の競合は「人間頼みの旧モデル」#
Hartley氏によれば、真の競合相手は他のソフトウェアベンダーではなく、年1回の人的セキュリティ診断という既存モデルだという。クライアントの需要は「年1回・インフラの5%をサンプリング」から「毎月または毎週・全インフラをスキャン」へとシフトしており、防御力が本当に強化されているかをリアルタイムで追跡したいというニーズが高まっている。
業績と成長率#
昨年の年間経常収益(ARR)は1億ドルに迫り、前年比120%成長を記録。今年はさらなる加速を見込んでいるとHartley氏は述べた。顧客数は約7,200〜7,300社に上り、中小企業を支援するマネージドサービスプロバイダーからFortune 10企業まで幅広い。
グローバル展開とR&Dへの継続投資#
今回調達した資金を活用し、Horizon3は国際展開を加速させる。2026年6月にオランダ・アムステルダムにオフィスを開設したのに続き、オーストラリアおよびシンガポールへの拠点拡大も進める計画だ。パートナーネットワークの構築と、R&Dへの継続的な大規模投資も方針として掲げている。なお、同社はこれまでにR&Dに約1億ドルを投資し、予測可能かつ制御可能な自動化システムの構築に充ててきたとHartley氏は述べている。
サイバーセキュリティ市場全体の規模については、Grand View Researchの推計として2025年時点で2,719億ドル、2033年には6,632億ドルへ成長すると同社は言及している。
まとめ#
Horizon3の急成長は、AIが攻撃側にも防御側にも深く組み込まれていく現代のセキュリティ環境を象徴している。年1回の人的診断では追いつかない脅威の速度に対し、AIを活用した継続的かつ自律的なテストという手法が企業に受け入れられつつある。シンガポール政府系機関や防衛企業、半導体大手が戦略的投資家に名を連ねた点も、この技術が特定セクターを超えた普遍的課題に対応していることを示している。
筆者の見解: AIが攻撃ツールとして広く普及する中で、「AIでAIに対抗する」という構図はセキュリティ業界の新たな主流になりつつあると感じる。Horizon3のアプローチが市場の評価を得ているという事実は、この流れを裏付けるものと言えるだろう。
出典: Horizon3 hits $2 billion valuation with $250M Series E as AI threats escalate





