
ロボタクシー産業の「バックボーン」を目指すMoove、シリーズCで2.5億ドルを調達#
モビリティ企業のMooveが2026年8月5日、シリーズCラウンドで**2億5000万ドル(約250億円)の資金調達を完了したと発表した。今回の調達により、同社の企業評価額は21億ドル(約2100億円)**に達した。
Mooveとはどんな企業か#
Mooveは2020年にナイジェリアで創業し、現在はドバイに本社を置くモビリティ企業だ。もともとはアフリカでの**車両ファイナンシング(ギグドライバーへの車両融資)とライドヘイリング(人が運転する配車サービス)**を中心に事業を展開してきた。
現時点でも、同社は14カ国に4万2000台の車両を擁するライドヘイリング・フリート(車両群)を運営しており、世界全体で3300人の従業員を抱える。共同創業者兼共同CEOのラディ・デラノ氏は、こうした大規模フリート管理と車両ファイナンシングの経験が、自律走行車(AV)運営への参入における「理想的な訓練の場」だったと語っている。
なぜ自律走行車事業に参入したのか#
Mooveが自律走行車分野への展開を本格的に開始したのは2023年初めのこと。業界を分析した結果、同社はAVエコシステムの主要プレイヤーを4つに整理した。
- AV開発者(技術開発企業)
- 車両メーカー
- Uberのようなマーケットプレイス
- 消費者(エンドユーザー)
デラノCEOによれば、これらのプレイヤーはいずれも「車両そのものを所有したくない」という共通点がある。「誰が車両を所有し、運営し、オーケストレーション(統合管理)し、整備・メンテナンスを行い、忘れ物対応や清掃をするのか」という問いに対して、Mooveのフリート管理ノウハウがそのまま活かせると気づいたという。
その結果として生まれたのが、**「自律走行車の所有・運営・オーケストレーション」**を一手に担うビジネスモデルだ。
Waymoとのパートナーシップ#
2023年以降、Mooveは数多くのAV企業と交渉を進め、最初に提携が成立したのがWaymoだった。現在MooveはWaymoのフリートオペレーター(車両運営事業者)として、フェニックス、マイアミ、ラスベガス、そして将来的にはロンドンでの運営を担う。
現時点ではWaymo車両の所有権はMooveにはないが、同社は**デット・ファイナンシング(負債を活用した資金調達)**によってロボタクシーを購入する計画を持っている。ただし、デラノCEOはWaymo車両の購入時期については明言していない。
なお、デラノCEOはWaymo以外の別のAV開発企業のロボタクシーはすでに自社所有していると述べているが、その企業名は非公開としている。
今回の調達資金の使途#
今回調達した2億5000万ドルは、主に以下の用途に充てられる予定だ。
- AV車両フリート管理事業の拡大
- 約350人の新規採用
- 「ネスト」と呼ばれる自動化デポ(整備・充電拠点)の開発
特に注目されるのが「ネスト」だ。これは24時間365日稼働可能な自動化デポで、ロボティクスを活用した車両の充電・メンテナンス・整備を自動化する施設を指す。現在、同社はおよそ15カ所のデポを開発段階で保有しているが、完全自動化(「ライツアウト」)での稼働開始時期はデラノCEOも明言を避けた。
また同CEOは、従来のモビリティ事業(ライドヘイリング等)が今年中に完全黒字化する見通しであることも言及した。長期的なビジョンとして、同社は数十万台規模のロボタクシーを所有・運営することを目指している。
今回のラウンドへの参加投資家#
今回のシリーズCラウンドはMubadala Investment Company(ムバダラ投資会社)がリードし、Woven CapitalとIon Pacificが共同リードを務めた。その他の参加投資家には、BlueCrest Capital Management、Sona Asset Management、Raptor Group、BlackRock、MUFG、Franklin Templeton、Uber、Left Lane、Silverbacks Holdings、Square Associates、The Latest Ventures、Endeavor Catalyst、そしてOntario Power Generation Pension Plan(オンタリオ電力年金基金)が名を連ねている。
まとめ#
Mooveはアフリカ発の車両ファイナンシング企業から出発し、グローバルなライドヘイリング事業を経て、今やロボタクシー産業の「インフラ企業」へと変貌を遂げようとしている。AV開発者・車両メーカー・プラットフォームのいずれもが車両の「所有と運営」を担いたくないという市場の空白を突いたビジネスモデルは、今回の大型調達でその実現に向けて大きく前進した。
筆者の見解: Mooveのアプローチは、ロボタクシー産業における「縁の下の力持ち」戦略と言える。テクノロジー開発企業がスポットライトを浴びる中、フリート管理・整備・ファイナンシングという泥臭い領域に特化することで、複数のAVプレイヤーと協力関係を築ける点は興味深い。ただし、自動化デポ「ネスト」の稼働時期や、Waymo車両の買取計画の具体的なスケジュールなど、事業の核心部分はまだ不透明な点も多い。詳細は元記事を参照されたい。
出典: Moove raises $250M to become the backbone of the robotaxi industry




