
値上げを続けてきた2大サービスが「無料化」を模索#
Disney+とNetflixという世界最大級のストリーミングサービスが、広告付きの無料ストリーミングプランの導入を検討していることが、それぞれの投資家向け説明会での発言から明らかになった。両社はここ数年、繰り返し価格を引き上げてきた経緯があり、今回の動きはその路線からの方向転換として注目されている。
DisneyとNetflixの発言内容#
Disney:「価格に敏感な顧客」へのリーチが戦略的優先事項#
DisneyのCEOであるジョシュ・ダマロ氏(2025年3月にボブ・アイガー氏の後任として就任)は、投資家向けの電話会議において、無料ストリーミングプロダクトの検討を進めていることを明言した。
ダマロ氏は、無料サービスの導入によって「価格に敏感な顧客層」にリーチできるとし、これはDisneyにとって「戦略的優先事項」であると述べた。また、無料プランによって広告在庫が増加し、広告収入の拡大につながるとも説明している。
「AVOD(広告付き動画オンデマンド)の競合他社と比べて、我々の広告枠はかなり埋まっている状態だ。つまり、より多くの在庫があれば、広告収入の成長を加速させることができる」(ダマロ氏)
さらに、無料プランがDisney+の有料会員獲得における「トップ・オブ・ファネル」(顧客獲得プロセスの最上流、すなわち認知拡大フェーズ)に貢献できるとも語った。ただし、「本日は具体的な発表はないが、検討中であることは間違いない」と述べるにとどめた。
Business Insiderの報道(元記事が言及)によれば、Disneyはすでに一部コンテンツをDisney+のペイウォール(有料の壁)なしで公開することを社内で議論しているとされるが、スケジュールや規模感は未定とのことだ。
Netflix:「慎重に検討中、近い将来の計画はない」#
Netflixの共同CEOグレッグ・ピータース氏も、約1ヶ月前の投資家向け電話会議で同様の姿勢を示した。
「無料プランは一部の市場では意味をなす可能性があるが、有料プランの利用者を食い合う『共食い』には慎重でなければならない。適切なサービス設計と差別化が重要であり、対象となる国で広告ビジネスを効果的にスケールさせることが、収益モデルを成立させるうえで不可欠だ。無料化は引き続き検討するが、近い将来に何かを立ち上げる計画はない」(ピータース氏)
これまでの値上げ経緯#
両社のサブスクリプション価格は、近年繰り返し引き上げられてきた。
- Disney+:2024年以降、米国価格を2回値上げ。直近は広告付きプランが月2ドル、広告なしプランが月3ドルの値上げ
- Netflix:同じく2024年以降に2回値上げ。直近は広告付きプランが月1ドル、広告なしプランが月2ドルの値上げ
加入者数は、Disney+が約1億3,160万人(2024年11月時点)、Netflixが3億2,500万人超(2025年1月時点)と、両社合わせれば世界最大規模の有料動画サービスとなっている。
無料ストリーミング(FAST)市場の台頭#
こうした値上げが続く中、広告付き無料ストリーミングサービス、いわゆる**FAST(Free Ad-Supported Streaming Television)**の利用が急拡大している。The Roku ChannelやPluto TVなどが代表例だ。
Parks Associatesが2025年第3四半期に実施した米国のインターネット利用世帯8,009件を対象とした調査によると、**米国のインターネット利用世帯の46%**がFASTサービスを定期的に利用して長尺動画コンテンツを視聴していると回答した。
また、同社が2025年第4四半期に米国・カナダの18歳以上4,493人を対象に実施した調査では、54%が広告付きサブスクリプションプランを利用しており、AVOD/FASTの採用率は前年比5ポイント増の**70%**に達した。
なぜこのニュースが重要か#
このニュースが注目される理由は、Disney+とNetflixという「有料サブスクリプション型ストリーミングの勝者」とされてきた両社が、自分たちが隆盛させた有料モデルの限界を認め始めた点にある。サブスクリプション数の伸び悩み、加入者の解約(チャーン)、そして無料サービスとの競争が背景にある。
さらに皮肉なことに、ソース記事が指摘するように、かつてFASTのような無料コンテンツへの需要を自ら掘り起こしてきた両社が、今まさにその無料モデルへの回帰を検討しているという構図だ。
まとめ#
Disney+とNetflixはともに、広告付き無料ストリーミングサービスの導入を「検討中」の段階にあり、具体的なスケジュールや内容は明らかにされていない。ただし、値上げへの消費者の不満と無料FASTサービスの普及という市場環境を受け、両社が方向性を模索していることは確かだ。
筆者の見解: 両社の発言はいずれも「検討段階」に過ぎず、具体的な施策の詳細は現時点では不明だ。有料プランとの差別化やビジネスモデルの設計がどうなるのか、今後の続報に注目したい。
出典: After jacking up prices, Disney+ and Netflix consider offering free alternatives





