
PayPal売却交渉が再燃——数週間以内に合意の可能性も#
フィンテック大手PayPalの売却をめぐる交渉が、再び熱を帯びてきた。決済プラットフォームのStripeと、プライベートエクイティ(PE)大手のAdventがPayPalの買収に向けた協議を継続しており、Wall Street Journal(WSJ)の報道によれば、今後数週間以内に合意に至る可能性があるという。
交渉の経緯——7月の提案からの流れ#
この買収話が最初に浮上したのは2026年7月のことだ。WSJの報道によると、StripeとAdventはPayPalに対して**1株あたり60.50ドル、総額530億ドル(約7.8兆円)**という評価額での買収を提案した。
しかしPayPal側は当初この提案を拒否。交渉は一時頓挫したかに見えたが、WSJが新たな匿名情報筋の証言をもとに報じたところによると、実際には交渉は継続されており、合意が近い可能性もあるとのことだ。
この報道に対し、PayPalはコメントを拒否。Stripeのスポークスパーソンは「噂や憶測についてはコメントしない」と述べるにとどまった。
PayPalが直面する経営課題#
こうした売却交渉の背景にあるのは、PayPalが抱える経営上の苦境だ。同社は現在、CEO Enrique Lores(エンリケ・ロレス)氏のもとで大規模な立て直しを図っている最中にある。
ロレス氏は長年HPに在籍した後、2026年3月にPayPalのCEOに就任した。4月には最初のターンアラウンド(経営立て直し)策を発動し、主な内容として以下の施策を打ち出した。
- 経営幹部の刷新(エグゼクティブシャッフル)
- 事業を3つのオペレーティングモデルに分割
- チェックアウトソリューションおよびPayPal本体
- コンシューマー向け金融サービス(Venmoを含む)
- 決済サービスおよび暗号資産(クリプト)
さらに翌5月には投資家に対して、「テクノロジー企業としての再生」を含む「ファンダメンタルズへの回帰」を誓った。
加えて、今後2〜3年間でPayPalの従業員を20%削減するコスト削減計画も予定されている。
PayPalの歴史と近年の苦境#
PayPalは1998年に設立された老舗フィンテック企業だ。創業メンバーにはPeter Thiel(ピーター・ティール)、Elon Musk(イーロン・マスク)、Max Levchin(マックス・レフチン)、Luke Nosek(ルーク・ノサック)ら、後のシリコンバレーを代表する人物たちが名を連ねる。
同社はパンデミック期にeコマースの急拡大の恩恵を受けて急成長を遂げた一方、その後は業績が伸び悩んでおり、経営の立て直しが急務となっている。
このニュースが重要な理由#
PayPalはフィンテック業界において長年にわたり圧倒的な存在感を誇ってきた企業だ。もしStripeとAdventによる買収が成立すれば、フィンテック・決済業界における歴史的な大型M&Aとなる。特にStripeは非上場企業ながら世界最大級の決済インフラ企業の一つであり、PayPalを傘下に収めることで業界地図が大きく塗り替わる可能性を帯びている。
また、PE大手のAdventが加わっている点も注目に値する。PEファンドが絡む買収では、コスト削減や事業再編が加速するケースが多い。すでに20%の人員削減計画が発表されているPayPalにとって、買収後の組織がどうなるかは従業員・パートナー企業・利用者にとっても無関係ではない。
まとめ#
PayPalの売却をめぐる交渉は、当初の提案が拒否された後も水面下で継続しており、WSJの新報道によれば数週間以内に合意に至る可能性がある。ロレスCEOによる事業再編・コスト削減を軸とした立て直し計画が進む中、売却もそのオプションの一つとして現実味を増している。
筆者の見解: この交渉の行方は、フィンテック・決済業界全体に大きな影響を与えうる。ただし、現時点では交渉継続中であり、WSJの報道も匿名情報筋に基づくものである点には留意が必要だ。正式な発表があるまでは予断を許さない状況が続くだろう。
出典: Talks to sell PayPal to Stripe and Advent are heating up





