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AIはまだがんを治せない——スタートアップが語る「本当に必要なもの」

·4 分
著者
Alicia
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目次
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AIはがんを治せるのか?業界への「現実チェック」
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AIが医療に革命をもたらすという期待が高まる一方で、バイオテックスタートアップのVivodyne社は「AI創薬業界にはデータの問題がある」と指摘し、その解決策として独自のロボットラボシステムを開発・展開している。


AI創薬が直面するデータの壁
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現在のAI創薬モデルが学習に使うデータは、主として動物実験や単一細胞・タンパク質の研究から得られたものだ。しかしVivodyne社のCEO兼共同創業者であるAndrei Georgescu氏は、こうした既存モデルには人体の複雑さを捉えるデータが根本的に不足していると主張する。

同氏が端的に述べているのが「ヒトを対象にしたデータがなければ、AIモデルはマウスのがんしか治せない」という言葉だ。

この指摘は、業界全体が直面する深刻な課題とも重なる。動物実験で有効性が確認され、臨床試験に進んだ薬のうち、最終的に規制当局の承認を得られるのはわずか10%に過ぎない。Nobel賞を受賞したAlphaFoldも生命の構成要素の理解に大きく貢献したが、新薬の実用化にはまだ至っていない。Anthropic CEOのDario Amodei氏でさえ、「AIがんを治す」という言説は信頼性よりも陳腐さが増していると指摘しているほどだ。


Vivodyne社の解決策:「HIVE」ロボットラボとヒトデータセンター
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Vivodyne社が開発した「HIVE」は、モジュール型のロボットラボシステムだ。このシステムは20種類のヒト組織を培養し、自律的に薬剤を投与・モニタリングすることで、これまでのAIモデルに欠けていた「因果的な生物学データ」を生成できる。

同社が公表している精度データは注目に値する:

  • 肝細胞:毒性を評価するヒト臨床試験と比較して94%の予測精度
  • 気道組織:実際のヒト組織の挙動と96%一致
  • 骨髄:20種類の抗がん剤試験で100%の一致率を達成

Vivodyne社は2021年にペンシルバニア大学からスピンアウトした企業で、Georgescu氏は同大学でバイオエンジニアリングの博士号を取得している。Khosla Venturesがリードした2ラウンドの資金調達で、累計8,000万ドル弱を調達。先週はサンフランシスコ近郊に「世界最大のヒト用データセンター」と称する施設をオープンさせた。同社によれば、現在の処理量は米国全体の動物試験の2倍のスループットを達成しているという。


なぜ「因果データ」が重要なのか
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Georgescu氏が特に強調するのは、既存のAIモデルが「静的なスナップショット」しか学習していないという問題だ。

現行モデルは「これが細胞状態Aだ」「これが細胞状態Bだ」という情報は学習できても、「細胞状態Bは細胞状態Aが炎症を起こした結果である」という因果関係は学習できていない。Vivodyne社のHIVEシステムでは、病変した組織に何らかの刺激を加える数十万件規模の継続実験を追跡しており、その膨大なデータが人体生物学を理解できるAIモデルの訓練に活用される見通しだ。

また、同社は複数の大手製薬企業とパートナーシップを結んでいるとしているが、企業名は非公開だ。Georgescu氏は、新薬候補の有効性をあらかじめ把握することで高額な臨床試験(通常数千万ドル規模)を効率化できると説明し、この仕組みを自動車の衝突試験になぞらえている。自動車メーカーが安全基準を満たすと確信してからテストに臨むように、製薬会社も同様の確信をもって臨床試験に臨める状態を目指すという。


まとめ
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AIが創薬を加速するという期待は依然として高い。しかし現実には、AlphaFoldのような画期的な技術ですら新薬の実用化にはつながっておらず、業界全体で課題が山積している。Vivodyne社のアプローチは、動物実験やスナップショット的な細胞データへの依存から脱し、ヒト組織を用いた因果的・動態的データの大量生成によってAI創薬の根本的な限界を突破しようとするものだ。

筆者の見解: 因果データの欠如という問題はシンプルながら根深い指摘であり、既存のAIモデルが人体の複雑さを真に捉えられるかという問いに対して、Vivodyne社のアプローチは一つの有力な方向性を示していると感じる。ただし、同社の技術がどこまで実際の新薬承認につながるかは、今後の臨床的な実証にかかっており、引き続き注目が必要だ。


出典: AI isn’t close to curing cancer. This startup says it knows what it will take.

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