
Amazonが広告オークションを不正操作?FTCと22州が大規模訴訟を提起#
米連邦取引委員会(FTC)と22州の司法長官が、Amazonを相手取った大規模な訴訟を提起した。Amazonが2019年から広告オークションを秘密裏に操作し、約120万の広告主から7年間にわたって総額200億ドル超を不当に搾取したと主張している。
何が問題とされているのか?#
「第2価格オークション」の仕組みと疑惑#
Amazonは広告主に対し、「第2価格オークション(Generalized Second-Price Auction、GSP)」という仕組みで広告枠を販売していると説明してきた。これはデジタル広告業界の標準的な方式で、落札者は2番目に高い入札額に1セント上乗せした価格のみを支払えばよい、というものだ。
ところがFTCは、Amazonが2019年からこのオークション結果を密かに上書きし、「ソフト・リザーブ・プライス(soft reserve price)」と社内で呼ばれる非公開の価格下限を設定することで、実際の落札価格よりも高い金額を広告主に請求してきたと主張している。
訴状によれば、Amazonのシニアサイエンティストは「Amazonが特定の広告枠に対してどれだけの価値があると考えるかを表す、仮想の入札参加者を使って価格を引き上げている」と内部で説明していた。また広告部門を統括するシニアVPも、「第2価格は実際の入札者ではなく、Amazonが計算したプロキシ第2価格によって決まる」と内部で発言していたとされる。
「サーチャージを知らせていない」#
FTCが入手した2024年の内部メッセージには、Amazon社員が「我々はサーチャージについて広告主に告知していない。GSPベースだと思わせておく」と記していたとされる。さらにその社員は、「Amazonがサーチャージを引き上げても広告主に検知されない」と結論づける大規模な価格実験に携わっていたと訴状は主張している。
FTCによれば、Amazonはオークション操作の仕組みを自社の営業・マーケティング担当社員にさえ秘密にしており、広告主が検知できないよう設計していたという。また、リザーブ価格の存在をAmazonのウェブサイトに明記したのは2025年10月30日で、FTCの調査開始から約1年後のことだとされている。
Amazonの反論#
Amazonは今回の訴訟を「的外れ」だと反発しつつも、リザーブ価格の使用自体は認めた。同社は以下のように主張している。
- リザーブ価格を導入した理由は、「関連性の高い広告が市場価格を下回る価格で落札されるケースが増えていたため」
- ソフト・リザーブ・プライスは「各広告枠の真の市場価値を反映しようとするリアルタイムの最低価格」
- 「いかなる場合も、広告主は自分の入札額を超えて支払うことはない」
- 2019年から2024年にかけて、インフレ調整後の平均クリック単価は横ばいを維持している
- スポンサードプロダクト広告の92%は最高入札者ではなく、価格と検索キーワードへの関連性の組み合わせで落札者が決まる
- 2021年から2025年にかけて、広告の関連性を考慮したオークション方式により、広告主は80億ドル以上を節約した
また、約150万ページ・6年分の資料を精査した上で、FTCが「少数の簡略化されたコミュニケーション素材」を恣意的に抜き出している、と反論している。
このニュースの注目ポイント#
1. 提訴規模の大きさ
今回の訴訟にはFTCに加え、共和・民主両党にまたがる22州の司法長官が参加している。参加州はアラスカ、アリゾナ、カリフォルニアなど多岐にわたり、超党派での法的連携という点でも注目される。
2. 影響を受けた広告主の規模
FTCは約120万の広告主が影響を受けたと主張しており、その数の多さからAmazonプラットフォームを利用するセラーエコシステム全体への影響が問われている。訴状では、こうした広告費用の増大が最終的にAmazonのショッパー(消費者)が負担する価格上昇につながっていると指摘している。
3. FTCが求める救済措置
FTCと各州は、永続的差止命令によるAmazonの慣行変更に加え、民事制裁金・損害賠償・収益返還などの金銭的救済を求めている。
まとめ#
FTCの主張の核心は、Amazonが広告主に「競争的なオークションで価格が決まる」と説明しながら、実際には秘密裏に価格を上乗せしていたという「透明性の欠如」にある。Amazonは価格操作を否定しつつも、リザーブ価格の仕組みの存在そのものは認めており、その開示タイミングの遅さも今後の争点となり得る。
訴訟はワシントン州西部地区連邦地裁に提起されており、今後の審理の行方が注目される。
筆者の見解: 今回の訴訟は、デジタル広告市場における「オークションの透明性」という業界全体の課題を改めて浮き彫りにしている。Amazonの反論が法廷でどこまで通用するか、そして業界標準の開示水準がどのように再定義されるかは、Amazonだけでなくデジタル広告全体に影響を与える可能性がある点で要注目だ。
出典: FTC alleges Amazon illegally made $20 billion by rigging billions of ad auctions





