
Google、広告事業の売却命令を免れる#
米連邦裁判所は2026年9月2日(現地時間)、Googleの広告(アドテク)事業の分割・売却を命じないとする判決を下した。一方で、競合他社に有利となるよう事業慣行を変更することを義務付けた。
2つの独占禁止法訴訟という背景#
今回の判決を理解するためには、米司法省(DOJ)がGoogleに対して起こした2件の訴訟を押さえておく必要がある。
- 2020年提訴の訴訟:Googleの検索事業における市場支配力の独占を問題視したもの
- 2023年提訴の訴訟:Googleの広告テクノロジー(アドテク)事業に特化して独占的行為を問うもの
いずれの訴訟でも、Googleがデジタル広告経済において違法な独占状態にあると主張された。
裁判所はおおむね政府側の主張を支持してきた。2024年には検索事業が違法な独占と認定され、Googleが「独占的市場支配力を行使した」と判断された。さらに2025年4月には、アドテク事業に特化した別の裁判でも同様の結論が出ている。
検索訴訟での先例とパターンの繰り返し#
2024年の検索事業に関する判決後、司法省はChromeブラウザやAndroid OSの売却を含む複数の分割案を提案した。しかし2025年9月、当該訴訟を担当したAmit Mehta判事はこれらの売却要求を退け、GoogleがChromeとAndroid両方を保持することを認めた。その上でMehta判事は、独占的なデフォルト配置契約の終了と、一部の検索データを競合他社と共有することを命じた(この是正措置についてはGoogleが現在控訴中)。
今週下された判決では、この流れが再び繰り返された形となった。
今回の判決:分割なし、ただし慣行の変更を命令#
バージニア州東部地区連邦裁判所のLeonie M. Brinkema判事が今週水曜日に下した判決では、Googleは広告事業を売却しなくてよいとされた。代わりに、競合他社を有利にする形で事業慣行を変更するよう求められた。
ただし、ニューヨーク・タイムズの報道によれば、判事の判決文は「具体的な方法を明示していない」という。Brinkema判事の完全な判決文は、関係者が必要な情報の黒塗り(リダクション)を行うための期間として、14日間は封印されたままとなる。
なお、Googleがアドテク事業において違法行為を行ったという認定自体は昨年4月に行われており、今週の判断はあくまでも「是正措置(remedy)」のみを扱ったものである。
Googleの主張:小規模ビジネスへの貢献を強調#
Googleは今回の判決を「勝利」として位置づけた。同社の規制担当バイスプレジデントであるLee-Anne Mulholland氏はTechCrunchに対し、「裁判所が、中小企業の新規顧客獲得や成長を支援するツールの分解というDOJの提案を却下したことを非常に喜ばしく思っている」とコメントした。
Googleの市場支配を支えた仕組み#
政府側のアドテク訴訟の中心にあったのは、Googleが自社の検索エンジンを世界中のデバイスでデフォルトに設定するために用いた戦略だ。これが広告事業の支配にもつながっていると政府は主張している。
具体的には以下のような手法が指摘されている。
- デバイスメーカーとの独占的契約:スマートフォン市場の広い範囲でGoogleをデフォルト検索エンジンとするよう、メーカーと独占的な合意を結んだ
- モバイルキャリアとの収益分配契約:キャリアが広告収益の一部を受け取る代わりにGoogleをデフォルト検索エンジンとして維持するという取り決め
これらの戦略により、Googleは事実上のデフォルト検索エンジンとしての地位を電話市場全体で固めたとされている。
まとめ#
今回の判決により、Googleは広告事業の売却という最悪のシナリオを回避した。しかし事業慣行の変更という是正措置は課され、具体的な内容は今後明らかになる見通しだ。検索訴訟の判決(Googleが控訴中)と合わせて、米規制当局とGoogleの法廷闘争はまだ継続中と言える。
筆者の見解: 2件の訴訟ともに「違法な独占」の認定は出ているにもかかわらず、いずれも事業売却には至らなかったという点は注目に値する。ただし、是正措置の具体的内容がまだ封印されており、その詳細次第では今後の展開が大きく変わる可能性もある。詳細は元記事を参照されたい。
出典: Google spared from ad-business breakup, but judge orders changes to how it operates




