
ステルス解除3ヶ月足らずで「ユニコーン候補」へ躍進#
ロボット向けリアルワールドデータ収集スタートアップのXDOFが、ステルスモード解除からわずか3ヶ月足らずで、評価額約12億ドルのシリーズBラウンド調達に向けた最終段階の交渉を進めていると、TechCrunchが複数の関係者情報として報じた。リードインベスターは8VCとされている。
XDOFとは何か?その技術と事業モデル#
XDOFは、汎用ロボットの訓練に必要な「リアルワールドのテレオペレーション(遠隔操作)データ」を収集・提供することを主軸とするスタートアップだ。2024年にUCバークレーの研究者である**Philipp Wu氏(CEO)とFred Shentu氏(CTO)**によって共同創業された。
同社の起源は、Wu氏がPhD学生時代に取り組んだ研究にある。ロボットが大規模データセットから学習するメカニズムを研究する上で、「大規模データが存在しない」という根本的な課題に直面した彼は、Shentu氏とともにGELLOと呼ばれる低コストのテレオペレーションシステムを開発。これはオペレーターがロボットアームを遠隔制御し、訓練データを生成できる仕組みであり、ロボティクス分野で影響力のある論文として発表された。
XDOFの事業モデルは、フロンティアAIラボやロボティクス企業が自社で構築することが難しいデータパイプライン・収集ツール・アノテーションシステムを外部から提供することにある。投資家の間では、LLM(大規模言語モデル)分野におけるScale AIやMercorに相当するポジション、つまり「物理ロボット向けデータ供給チェーンのインフラ企業」として認識されているという。
なぜロボット訓練データが重要なのか#
LLMはインターネット上の膨大なテキストデータを訓練に利用できた。一方、物理的なロボットには「それに相当するリアルワールドのデータセット」が存在しない。この点がロボット汎用化の大きなボトルネックとなっており、XDOFはこの課題に直接アプローチしている。
データ収集の具体的な手法#
XDOFのデータ収集は2つのアプローチを組み合わせている。
- ロボットの遠隔テレオペレーション: オペレーターがリモートでロボットを操縦し、訓練データを生成する
- エゴセントリックオペレーター: センサーを身に着けた人間が、衣類の折りたたみや箱の展開といった日常タスクをこなし、動作データを記録する
また、XDOFはUCバークレーのAI研究所と連携し、同社が「これまでに収集された最大規模の高品質ロボット訓練データセット」と位置付けるABCの公開を予定している。さらに、世界各地でデータ収集チームの採用・育成も計画しているという。
急成長が次のラウンドを呼び込んだ#
TechCrunchは今年6月、XDOFがThrive Capital、Andreessen Horowitz、Lux、Spark Capitalの参加を得て7,000万ドルのシリーズAを調達したと報じていた。当初、同社はシリーズA直後の追加調達を予定していなかった。しかし、年換算売上高が5,000万ドルに迫る急速な事業成長を受け、VCサイドから新たなラウンドへの打診があったとされる。
すでに20社以上の顧客(複数のフロンティアAIラボを含む)と取引していることも明らかになっている。
なお、今回の調達総額や評価額に新規調達分が含まれるかどうかは現時点では不明であり、条件も最終確定していないとTechCrunchは伝えている。XDOF・8VC双方ともコメントの要請には回答していない。
競合としては、Mecka AIのほか、LLMを超えて人間動作データに拡大しているScale AIやMicro1などが挙げられている。
まとめ#
XDOFは、物理ロボットの汎用化に不可欠なリアルワールド訓練データという「AIインフラの空白地帯」を埋めようとするスタートアップだ。創業からわずか数年、ステルス解除から3ヶ月足らずで12億ドル評価での資金調達交渉に臨むという異例のスピードは、ロボティクス×データ領域への投資家の熱量を如実に示している。
筆者の見解: XDOFが「ロボティクス界のScale AI」と呼ばれる背景には、LLMブームを支えたデータ基盤ビジネスが、次の主戦場である物理ロボットでも同様に機能するという期待感があると感じる。ただし、調達条件は未確定であり、今後の動向を注視する必要がある。
出典: XDOF, just three months out of stealth, is in talks for a Series B at a $1.2B valuation





