
WordPressの父が突如「休職」へ——Automatticで何が起きているのか#
WordPress.comを運営するAutomatticのCEO、マット・マレンウェグ氏が取締役会の決定により有給休職を命じられた。マレンウェグ氏は自身の休職について、CFOのマーク・デイヴィス氏が取締役会メンバーと「共謀した」と社内メッセージで主張している。
事態の経緯——マレンウェグ氏は「反対票」を投じた#
404 Mediaが報じた社内メッセージによると、マレンウェグ氏は自らの休職決定に反対票を投じたことを明らかにしている。同氏は、CFOのマーク・デイヴィス氏および取締役のアン・ダンウッディ氏、トニ・シュナイダー氏、スー・デッカー氏が休職決定に賛成票を投じたと主張している。
一方、取締役会メンバーのトニ・シュナイダー氏は社内の掲示板に「取締役会はマット氏にCEOの役割から離れ、休職を取るよう求めることを決定した」と投稿。暫定CEOにはCFOのマーク・デイヴィス氏が就任し、「マット氏が不在の間、会社をうまく率いてくれると確信している」とシュナイダー氏はコメントしている。
Automatticのスポークスパーソンであるミーガン・フォックス氏もThe Vergeへの声明でこの事実を公式に認めており、「マーク・デイヴィスはAutomatticの暫定CEOとして会社を率いる。取締役会はマーク氏のリーダーシップと、チームが会社の優先事項を実行する能力を全面的に信頼している」と述べている。
なお、マレンウェグ氏はCEO職を離れる形となるものの、Automatticの取締役会には引き続き留まることが、404 Mediaの報道により確認されている。
マレンウェグ氏とAutomatticの歩み#
マレンウェグ氏はWordPress.orgの共同創設者であり、2014年からAutomatticのCEOを務めてきた。世界中のウェブサイトの多くで使用されているオープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)であるWordPressの中心人物として、長年にわたりプロジェクトを牽引してきた人物だ。
2024年には、著名なWordPressホスティング企業に対して公の場でプレッシャーをかけるキャンペーンを展開。この行動はオープンソースコミュニティ内に亀裂を生み、現在も継続中の法的争いの引き金となった。
このニュースが重要な理由——オープンソース界への影響#
この出来事が注目を集めるポイントは複数ある。
① 創業者的人物の突然の退場 マレンウェグ氏はWordPress.orgの共同創設者であり、Automattic設立以来のCEOだ。そのような人物が取締役会の決定によって実質的にCEO職から外されるという事態は、企業内部の深刻な対立を示唆している。
② 内部対立の公表 マレンウェグ氏が「共謀」という表現を使い、社内メッセージという形でCFOや取締役を名指ししたことは異例だ。通常、こうした内部の権力闘争が外部に詳細な形で漏れることは少ない。
③ WordPressエコシステムへの影響 2024年から続くWordPress関連の商標・オープンソースをめぐる法的争いがまだ決着していない状況での指導者交代は、コミュニティやパートナー企業に対して少なからぬ影響を与える可能性が考えられる。
まとめ#
Automatticの取締役会がCEOのマット・マレンウェグ氏を有給休職とし、CFOのマーク・デイヴィス氏が暫定CEOに就任したことが公式に確認された。マレンウェグ氏は取締役会に留まるものの、日常的な経営の指揮は離れることになる。WordPressをめぐる法的争いが続く中での今回の動向は、今後のAutomatticの方向性を占ううえで重要な出来事といえるだろう。
筆者の見解: WordPressというオープンソースプロジェクトの象徴的な存在であるマレンウェグ氏が、自ら創り上げた会社において経営の表舞台から退く形となった今回の展開は、技術コミュニティに少なからぬ衝撃を与えるはずだ。今後、取締役会と同氏の関係、そしてWordPress関連の係争がどう動くか、引き続き注目していきたい。
出典: Automattic CEO Matt Mullenweg placed on leave (The Verge, Emma Roth, 2026年9月9日)




