
AIデータセンターへの反対が多数派に#
2026年9月にニューヨーク・タイムズとシエナ大学が共同で実施した世論調査の結果が明らかになり、米国の有権者の間でAIデータセンターへの反対感情が非常に強いことが改めて示された。調査対象となった1,503人の「投票する可能性が高い有権者」のうち、実に61%がAI技術を支えるデータセンターの建設に反対と回答した。
調査の詳細:反対の理由と内訳#
党派別の立場#
調査では、有権者の政治的立場によって意見に大きな差が見られた。2024年の大統領選でドナルド・トランプに投票した人々の間では、賛成49%・反対45%とほぼ拮抗していた。一方、カマラ・ハリスに投票した層では74%が反対と回答し、投票しなかった層でも67%が反対を示した。
反対派が求める対応#
データセンターに反対と答えた回答者のうち、56%は「建設の制限を支持する」と述べた一方、38%はより強硬な「全面禁止を望む」と回答している。
反対の主な理由#
データセンター建設に反対する理由として、以下が挙げられた(複数の選択肢から):
- 環境への影響・水使用量:32%(最多)
- 地域社会への影響:21%
- AIへの全般的な不信・嫌悪感:18%
- 規制に関する懸念:10%
- 経済的な懸念:9%
環境問題や地域コミュニティへの影響が上位を占めており、データセンターが大量の電力と水を消費するインフラであることへの市民の懸念が数字に表れていると言える。
他の調査とも一致するトレンド#
この調査結果は、今回が初めてというわけではない。記事によれば、同年3月のNBCニュースの調査ではAIの支持率がICE(米移民・関税執行局)よりも低いという結果が出ていた。また、5月のギャラップ調査では、米国人の7割が地元でのAIデータセンター建設に反対していることが明らかになっていた。今回のNYT・シエナ大学の調査は、こうした一連のデータと方向性が一致しており、AIおよびデータセンターに対する否定的な世論が継続していることを裏付けている。
選挙の争点としては低い優先度#
注目すべき点として、反対意見が強い一方で、有権者がAI・データセンター問題を「中間選挙の投票判断において最も重要な問題」とは位置づけていないことも調査から明らかになった。AIやデータセンターを最重要課題として選んだ割合は、ほとんどの年齢層で1%未満にとどまった。例外として、18〜29歳の若年層では3%が同問題を選んだが、それでも経済・外交政策・インフレ・トランプ/共和党への反対といった選択肢の方が圧倒的に多く選ばれた。
また、どの政党がこの問題をうまく処理できるかという問いに対しては、民主党支持者は民主党を、共和党支持者は共和党を選ぶ傾向があり、党派を超えた明確な優位は見られなかった。回答した554人の中では、民主党支持が40%、共和党支持が42%、「わからない・回答拒否」が18%という結果だった。
まとめ#
今回のNYT・シエナ大学の調査は、AI・データセンターに対する米国市民の反感が決して一時的なものではなく、複数の調査を通じて継続的に確認されていることを示している。環境問題や地域への影響が主な懸念として挙がっており、特定の政党が明確な支持を得ているわけでもない複雑な構図だ。
筆者の見解: 反対が多数派を占めながらも選挙の優先課題としては低く扱われているという乖離は興味深い。AI産業の拡大が続く中で、世論と政策がどのように折り合いをつけていくかは、今後も注目すべきポイントだろう。
出典: AI and data centers are incredibly unpopular in every poll(The Verge、Richard Lawler、2026年9月15日)





