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SalesforceとNvidiaが共同開発した推論AIモデル「Koa」とは?

·5 分
著者
Alicia
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SalesforceとNvidiaが「Koa」を発表——フロンティアAIラボへの挑戦状
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Salesforceは年次カンファレンス「Dreamforce」において、Nvidiaとの共同開発による初の推論AIモデル「Koa」を発表した。NvidiaのオープンウェイトモデルであるNemotronをベースに、販売・マーケティング・カスタマーサポートに特化した後学習(ポストトレーニング)を施したこのモデルは、フロンティアAIラボのビジネスモデルに真っ向から対抗するものとなっている。


Koaとは何か?その技術的な特徴
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Koaは、SalesforceのAIプラットフォーム「Agentforce」上に提供される推論モデルだ。AgentforceはSalesforceの顧客が、カスタマーサービスへの問い合わせ対応やアポイントメントのスケジュール管理といった定型業務をこなすAIエージェントを構築するためのプラットフォームである。

Salesforce AI担当EVPのJayesh Govindarajan氏によると、これまでエージェントが長期的・多段階のタスクを推論処理する必要がある場合、AgentforceのAI「ゲートウェイ」(どのモデルがどのリクエストを処理するかを決定するシステム)を通じてClaudeやChatGPTといったフロンティアモデルにルーティングしていたという。Koaはこの依存を解消する初の自社製推論モデルとなる。

なぜNemotronがベースに選ばれたのか
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Govindarajan氏はNemotronを採用した理由として、以下の3点を挙げている。

  • **米国産の主権AI(Sovereign AI)**であること
  • 最先端の性能を持つこと
  • データの出自(データプロベナンス)が明確であること

同氏は、中国のAlibabaが提供する人気オープンウェイトモデル「Qwen」を名指しし、「Qwenが何で学習しているかは分からない」と述べ、データの透明性に対する懸念を示した。

合成データで構築——顧客データは一切不使用
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Koaのポストトレーニングにあたって、SalesforceとNvidiaは実際の顧客データを一切使用しなかった。代わりに、顧客のパターンを模倣した合成データを独自に生成した。具体的には、クレームを言う顧客がコールセンターに電話してくるシナリオから、商談をクロージングしようとする営業担当者のシナリオまで、カスタマーサービス環境を仮想的にシミュレートしたという。


なぜKoaはAIラボにとって脅威なのか
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SalesforceがKoaで企業顧客に提供する価値をまとめると、以下のようになる。

  • クローズドなフロンティアモデルに対するオープンウェイトの代替手段
  • 特定の業務タスクに特化した学習(数学的難問の解決ではなく、実務的な業務に最適化)
  • 実際の顧客データを学習に使用していないため、データ漏洩リスクがない
  • 使用トークン数を削減することでAIコストの低減に貢献
  • AgentforceのAI「ゲートウェイ」を通じた自動ルーティングへの対応
  • Salesforceのインフラに組み込まれたデータ要件やセキュリティポリシーへの準拠

Nvidiaのエンタープライズ向け生成AIソフトウェアVP、Kari Ann Briski氏は、Nemotronの推論アーキテクチャが「トークン効率」に優れていると述べ、「Sovereign AI」「最初のトークンが出力されるまでの時間(Time to First Token)」「効率的な推論」の3つが揃っていると説明した。

プロプライエタリなAIラボは、企業にファイル・コード・プロンプト・フィードバックを自社モデルに直接アップロードさせ、多額の費用を支出させることを望んでいる。Koaはこれとは異なる方向性を示しており、エンタープライズのAIニーズがフロンティアラボの提供物から乖離しつつあることを象徴する事例と言えるだろう。


AnthropicやOpenAIとの関係は?
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SalesforceはKoaを発表する一方で、AnthropicやOpenAIとの関係を完全に断つわけではない。同社はAnthropicとの新たな提携「Claudeforce」も発表しており、企業がClaudeをAIインターフェースとして利用しながら、データはSalesforceのシステム内に保持されSalesforceのインフラで保護されるという仕組みを提供する。


まとめ
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SalesforceとNvidiaが共同開発した「Koa」は、エンタープライズAIの文脈において複数の重要な要素を兼ね備えたモデルだ。オープンウェイト、業務特化、顧客データ非使用、トークン効率——これらは、フロンティアAIラボが提供するサービスとは一線を画す訴求ポイントとなっている。

筆者の見解: 今回の発表は、エンタープライズ市場におけるAI競争の構図が、純粋なモデル性能の争いから「コスト」「セキュリティ」「データ主権」といった実務的な価値へと軸足を移しつつあることを示す出来事として注目に値すると筆者は考える。AnthropicとのClaudeforce提携を同時に維持している点からも、Salesforceが特定の技術スタックに依存しないマルチモデル戦略を採っていることが読み取れる。


出典: Salesforce and Nvidia’s new reasoning model is everything the AI labs should fear

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