
Waymoの急成長:数字が示す実態#
Alphabetが筆頭株主を務めるWaymoのロボタクシー事業が急拡大している。しかしフリートデータを詳細に見ると、その成長が特定の地域に集中していることが浮かび上がってくる。
急拡大するサービス規模#
2024年9月時点では、Waymoのロボタクシーサービスが展開されていた都市はフェニックス、ロサンゼルス、サンフランシスコのわずか3都市だった。それが2026年9月現在では米国15都市にまで拡大している。さらに、毎週の有料ライド数は平均50万回に達しており、わずか2年間で劇的な伸びを見せた。
フリート規模も拡大し、現在Waymoは約4,000台のロボタクシーを保有している。
成長の「核心」はカリフォルニアとテキサス#
全体的な拡大は印象的だが、実態を見ると、約4,000台のうち約80%がカリフォルニア州とテキサス州に集中している。残りの約800台がアリゾナ州やフロリダ州などの都市に分散して配備されている。
カリフォルニアへの集中は、Waymoの本社がシリコンバレーに所在し、初期の開発・テストが同州で行われてきた経緯から自然な流れといえる。
より注目すべきはテキサス州での急拡大だ。テキサス州車両登録データおよびTexas Autonomous Vehicle Fleet Trackerによると、Waymoはテキサス州のフリートをわずか3週間で49%増加させた。2026年9月24日時点で、同州に登録されている自動運転車両は1,102台に達している。
Waymoのテキサスでの商業展開は2025年3月にオースティンでUberとの提携によりスタートし、その後ダラス、ヒューストン、サンアントニオへと展開を広げてきた。同州のフリートは夏季に600台から700台程度で横ばいが続いていたが、9月に入り急増に転じた。
普及の鍵を握る新型ミニバン「Ojai」#
この急増を牽引しているのが、Waymoが新たに投入した「Ojai(オジャイ)」と名付けたロボタクシーだ。現在、テキサス州のWaymoフリートの約3分の1をOjaiが占めている。
Ojaiの正体は、中国のGeely Holding Group傘下のブランド「Zeekr」が製造するミニバンをベースにした車両だ(なお、GeleyはVolvoも傘下に持つ)。具体的にはZeekrのSEA-Mプラットフォーム(ロボタクシーや配送バン向けに設計された共用プラットフォーム)を採用している。
車両は中国製の接続関連技術を搭載しない状態で米国に輸入され、その後Waymoのアリゾナ州工場でWaymo独自の第6世代自動運転システムが搭載される。車内にはアップグレードされたライダーインターフェースと、車内アシスタントとして機能するGoogle製AI「Gemini」が組み込まれている。また、内装は高頻度利用に耐えられる仕様となっている。
コスト削減の切り札も、関税という壁#
Ojaiは製造コストを下げ、Waymoが収益化に向けてスケールアップするための重要な手段と位置付けられている。しかし現状では、米国の貿易政策により中国製車両には高い輸入関税が課されており、Ojai1台ごとにコスト増が発生している状況だ。
それでもWaymoはこのコスト負担を受け入れている。ニューヨークを拠点とする調査会社MoffettNathansonが詳細な輸送記録を基に追跡した結果によると、Waymoは2026年末までに5,100台のOjaiを米国に持ち込むペースで進んでいるという。
今後の配備先としては、テキサス州に加え、すでに3都市でサービスを展開するフロリダ州、そして新興市場のラスベガスなどが候補として挙げられている。
まとめ#
数字だけを見れば、Waymoのロボタクシー事業は目覚ましい拡大を遂げている。しかしフリートデータを精査すると、成長の大部分がカリフォルニアとテキサスの2州に集中しているという実態が見えてくる。中国製ミニバンをベースにしたOjaiが今後の普及加速の鍵を握る一方、関税問題はコスト面での課題として引き続き残る。
筆者の見解: 週50万回という乗車回数と15都市への展開は確かに印象的だが、フリートの80%が2州に集中しているという事実は、「全米規模の自動運転社会」にはまだ距離があることを示している。Ojaiの大量投入がこの地域集中をどこまで解消できるか、今後のデータ推移が注目ポイントになるだろう。





