
テスラ、電動大型トラック「Semi」をついに顧客へ納車開始#
テスラは2017年に初めて公開した全電動大型トラック「Tesla Semi」を、約10年越しにようやく顧客へ引き渡し始めた。2026年9月25日、米ネバダ州リノで開催されたイベントにて、同社幹部がその詳細を明らかにした。
イベントの概要と主な発表内容#
イベントはリノにあるテスラ初のギガファクトリーに隣接する、Semi専用の新工場で行われた。顧客・従業員・インフルエンサーを前に、同社幹部が車両の詳細を説明した。なお、CEO イーロン・マスク氏はトランプ大統領と中国の習近平国家主席との国賓夕食会に出席していたため、イベントには不在で、事前収録した映像での登場となった。
主なスペックと価格#
- 航続距離: 積載量に応じて1充電で500マイル(約800km)以上を実現(最上位モデル)
- 価格: インセンティブ適用前で約30万ドル弱(短距離向けバリアントも用意)
- 生産能力: 年間最大5万台(週約1,000台)を目標
- 雇用創出: 地域経済に3,000人分の雇用を創出予定
約10年に及ぶ遅延の理由#
もともと2019年に量産開始が予定されていたSemiは、複数の要因から大幅に遅れた。パンデミック、世界的な部品・半導体不足、そして先行テストを行った顧客フィードバックへの対応が重なり、長期にわたる待機期間が生じた。
Semiプログラム責任者のダン・プリーストリー氏と、テスラのエンジニアリング部門を率いるラース・モラヴィ氏が、30分にわたるイベント中に多くの設計変更の詳細を説明した。
主な設計変更ポイント#
1. 大幅な軽量化#
当初のバージョンと比較して、車両重量を約1,000ポンド(約450kg)削減することに成功した。
2. ドライブアクスルのオイル一本化#
以前は駆動軸に3種類のオイルが必要だったが、モーター設計の改良と潤滑剤チームの取り組みにより、1種類に統一した。モラヴィ氏は従来設計が「常に不満だった」と率直に述べた。
3. サイドウィンドウの変更#
当初はポップアウト式(完全に開かない構造)を採用していたが、この設計はトラックドライバーや業界関係者から長年にわたって問題点として指摘されていた。新型Semiでは標準的なロールダウン式ウィンドウへ変更された。プリーストリー氏は「バッジリーダー、料金所、インターホンなど、ドライバーが窓を開けてやり取りする場面が多く存在することが明らかになった」と変更の理由を説明し、設計が「不十分だった」と率直に認めた。
4. 充電インフラ#
テスラはメガワット規模の急速充電器のネットワークも整備中。イベントでは3%から60%まで充電されるSemiの様子がリアルタイムで披露された。ただし、充電インフラは依然として課題のひとつであるとも、匿名の関係者がTechCrunchに語っている。
注目点:排出量削減と「懐疑論者」への反論#
プリーストリー氏はイベントで、大型トラックは全車両の1%に過ぎないにもかかわらず、排出量の16%を占めていると指摘し、電動化の意義を強調した。
また、2020年に「電動大型トラックはおそらく実用的な解決策にはならないだろう」とブログで述べた著名人(記事では名指しされていないが、文脈からビル・ゲイツ氏の発言とわかる)への反論も展開。「不可能と言われると、テスラはその挑戦を受けて立つ」とモラヴィ氏はステージ上で語った。
一方、マスク氏は事前収録映像の中で、将来的に部分自動運転機能(オートパイロット系機能)をSemiに追加することを約束したが、今回の納車時点ではこの機能は搭載されていない。
まとめ#
Tesla Semiは2017年の発表から約10年を経て、ついに顧客への納車という形で実用フェーズへと移行した。価格・生産計画・航続距離など主要な仕様が明らかになった一方、充電インフラの整備状況や最終的なステッカー価格については未公開部分も残る。詳細については元記事を参照されたい。
筆者の見解: 約10年にわたる開発期間で積み重ねられた設計改良——軽量化、ウィンドウ変更、オイル一本化——は地道だが重要な進歩であり、テスラが現場のフィードバックを実際に製品へ反映できることを示している。ただし、充電インフラという業界全体の課題をどう克服するかが、普及の鍵を握る点は変わらない。
出典: Tesla finally moves to electrify trucking after a decade of work and delays




